さらに、空室になりにくい新築10年の間に、本来、大家に入るべき家賃の上前をはねる仕組みもきちんと存在する。
 
「アパート経営が始まって最初の3カ月は免責期間とかで、この間は家賃が入りません。また退去者が出ると、半月分の家賃が免責で入らなかったこともある」(サブリース業者と契約したことのあるアパート経営者)

 ごく一部の大手を除けば、退去者が出た場合の現況回復の修繕費は地主負担で、サブリース業者が指定する内装業者に発注しなければならない。当然割高だが、別の業者に頼むと一括借り上げの契約違反となってしまう。加えて、清掃業者、プロパンガスまでサブリース業者の指定である。見方を変えれば、地主はアパート経営の一切のノウハウを得ることなく、ただ家賃を様々な名目でサブリース業者に搾り取られているのである。

 加えて、困ったことに今後、未来永劫、超低金利時代が続くわけではない。空室が目立つようになった新築10年経過の後、金利が上がり、ローン返済額が増えたら、全国のアパートオーナーたちに何が起こるのか。

  総務省が5年おきに調査をおこなっている土地統計調査の平成25年版によれば、全国にある総住宅数は6036万戸だが、そのうちの820万戸が空き家。平成20年の調査に比べて空き家の数の伸び率は8・3%にも達している。仮に同じペースで空き家が増えていくと仮定すれば、平成30年には890万戸に達する計算だ。

  主を失った家は荒れ果てていき、周囲の景観を損なうばかりでなく、やがて防災と衛生面でも深刻な事態に直面する。とはいえ、これが賃貸ではない持ち家だった場合は、取り壊して売却すれば一件落着となる。しかし、たっぷりアパートローンの残ったサブリースの賃貸アパートだとどうなるのか。

  同じ調査によれば、空き家になっている賃貸用の共同住宅、つまりアパートやマンションの戸数は374万戸にも及んでいる。実に全国の空き家総数の42%がこれらアパートやマンションなのだ。そのうち、208万戸は広さが50平方メートル未満、まさにサブリース業者が建設しているタイプの部屋なのである。

 アパートを建てたはよいが、全国には、同じタイプの部屋が200万戸も空き部屋になっている。しかも、大東建託だけでも、年間4500億円以上の売り上げが計上できるほど、建設ラッシュが続いていることも忘れてはならない。
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 そこには、深刻な空き家問題という燃え盛る炎に油を注ぐような構図が浮き彫りになっている。日本中に、ローンが20年も残っている空き家だらけのアパートが林立している光景は想像するだに恐ろしい。遠くない未来に大きなツケとなって社会に跳ね返ってくるに違いない。(月刊ベルダ 2016月9月号「いずれ大問題のサブリース商法」、2017年3月号「将来の空き家を量産「サブリース業界」より)