政府は「この動かない資産」を高齢者に何とか使ってもらおうといろいろな税制を考えてきました。例えば、子供の結婚資金や孫の教育資金などに税金のかからないような枠を設けたり、住宅資金の贈与の制度を作ったりすることです。これは、単純に高齢者はお金を使わないけれど、若者はお金を使うからという「お金」だけの価値観で政策を作っているのではないでしょうか?先行きが不安な人に、お金はお墓まで持っていけないから、「お金を使え!」といって使うのでしょうか?
 そして最後に、将来の不安のためにとっておいた預金も幸いなことに介護の世話にあまりならずに亡くなった結果、預金がたくさん残ってしまう、その結果、相続税がかかる、といった人がお金を消費できずに相続税を納めることになるのです。

 もちろん結果論からしてお金はある人から取ればいいという考えのもとからすれば、確かにそうですが、これでは経済を回す云々の問題以前になってしまっています。

 相続税は亡くなった人の財産の一部を社会に返還することで富の集中を抑えるという働きがあるといいます。また最近は、高齢者は社会全体で見守っていくものであって、介護なども家族だけが見るということが少なくなりました。そのような背景もあり、相続人だけが遺産を相続するのではなく社会全体に還元する、還元してもよいのではないかとの考えから相続税の徴収を強化するという方針があります。

 では、社会への還元は社会への「経済を回す」といった生前の消費が良いのでしょうか、それとも亡くなってから「税」という形での貢献が良いのでしょうか。どちらにせよ「生きた」お金にするための政策が強く望まれるところです。

【参考文献】