出口:憲法13条や国際法など全体の法体系の中で、自衛隊は合憲ということですが、実際に自衛隊は何をしているのでしょう?
南スーダンPKOから帰国した陸上自衛隊員=2017年4月19日、羽田空港
南スーダンPKOから帰国した陸上自衛隊員=2017年4月

木村:
自衛隊には仕事が3つ+1くらいあるんです。ひとつは「外国の侵略から日本を守る」。これが一番重要で、13条から導かれるものです。それだけでなく、テロリストや警察の手にあまる犯罪者が出てきたときには、「治安出動」で押さえます。これも非常に大事な仕事です。最後に、「災害から国民を守る」。実際、自衛隊がこれまで出動したのは災害のときだけです。大災害が起きたときにレスキューに行ったり、がれきを除去したりします。

木村:それとは別に、自衛隊は大きな組織でさまざまな技術を持っているので、「国際貢献」を求められることがあります。PKO活動などが典型ですが、外国のインフラ整備や、場合によっては治安維持を手伝うこともあります。たとえばソマリア沖の海賊対策。相手は犯罪者なので、海賊を捕まえたら日本の刑法を適用するため日本に連れてくるのですが、ソマリ語を話せる人が少ないんですよ。

出口:弁護士、裁判官ともに立件が大変ですね。

木村:単純な効率を考えたら、ソマリア周辺国の人たちに治安活動をしてもらう方がいい。でも、「みんなでやっているので来い」と言われて派遣するわけです。

 ただ、自衛隊の国外活動には、注意すべき点もあります。南スーダンのケースを見ても、国外でやっていることはメディアも取材しにくいので国民の関心が高まりにくく、監視が甘くなります。そこが非常に危ないんですね。自衛隊は侵略活動をしているわけではなく、その国の政府に協力するために活動しているのですが、自衛隊員の安全は確保できているかとか、外国政府が自国民を抑圧するのに加担してしまっていないかなど、気をつけなければいけないと思います。

出口:国際貢献をしようと思うと、それなりの装備と技術を持った集団は、自衛隊以外にないですよね。

木村:これも結構微妙なところです。たとえばPKOにもいろいろなやり方があって、文民警察官を配置する場合もある。自衛隊がこれまでやってきたことって、HPを見ると、ほとんどがインフラ整備なんですよ。

出口:道路を作った、学校を作った、橋をかけた、などですね。

木村:どちらかというと、土木事業者のHPみたいになっているんです。出口さんはいろいろな国際交流をされているのでわかると思いますが、こちらの技術をポンと出してしまうことが、その国のために本当にいいかというと微妙ですよね。むしろ重機の使い方を教えて、道路はその国の人たちで作る方が国際貢献になるのでは。

出口:パンを与えるのではなく、魚の釣り方を教えるということですね。

木村:そうです、そうです。道路を作れば誰もが喜ぶし、役立っている感じがしますが、もっとできることがあるのではないでしょうか。自衛隊の国際貢献を考えると、今やっていることが本当にいいのかという視点を持たなければいけないと思います。