一方、中国への姿勢は一貫して強硬である。トランプは同インタビューに対し、「もし通商や外交面での譲歩に応じない場合は、中国に対しては『一つの中国』というアメリカの外交基本さえ含めた協議を始める」と発言した。中国はただちに反論し、陸報道官は「一つの中国政策は交渉の余地がない議題であり、中国外交の核心である」と述べた。

 ただしトランプはその後、「45%の関税」に関しては「検討を始める」と大幅に過去の発言を後退させ、「中国は為替操作国である」という認定問題に関しても「ただちに認定する」とは言わなくなった。
 
 中国はまだ様子見で弱々しい反応しか見せていない。「もしアメリカ軍が出てくるなら対抗する」と人民日報系のタブロイド紙「環球時報」に書かせている程度である。トランプの対中強硬姿勢が、どれほど本気なのかを見極めようとしているのである。

航行する中国の空母「遼寧」(共同)
航行する中国の空母「遼寧」(共同)
 南シナ海に関して中国は、2016年12月にアメリカ海軍の無人潜水艇を捕獲したが、すぐ返却するなど、現場の暴走も目立つ。そのうえ、2017年1月には空母「遼寧」に台湾をぐるりと一周させ、軍事的威嚇(いかく)を強めた。

 南シナ海でアメリカが軍事行動に出るとは想定しにくいものの、「暴言老人」と「暴れん坊」がこれからのアメリカを牽引するのだ。

 2017年2月初旬、筆者がロスアンゼルス空港の書店で「TIME」を見たら、表紙はスティーブ・バノン大統領上級顧問だった。

 大統領上級顧問ふぜいが「TIME」の表紙になることは異例中の異例である。つまり左翼ジャーナリズムが、トランプ攻撃の代理標的にバノンを選んだということでもある。このバノンが言っているのだ。「向こう5年か、10年以内にアメリカと中国は南シナ海で戦争となるだろう」と。バノンがすでにホワイトハウスで辣腕(らつわん)をふるい始めたことに留意しておきたい。

 トランプがCIA(中央情報局)長官に指名したマイク・ポンペオも対ロシア強硬派だ。マティス国防長官もどちらかといえばロシア=主要敵論に与(くみ)している。ペンタゴンもジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長(海兵隊出身)、ポール・セルバ副議長(空軍出身)ら制服組のトップは「現実に存在する強敵はロシアで、ISではない」と反論している。国防総省を統括するマティスに対して共和党主流派が強く推薦する副長官以下の人事に露骨に反対しており、ナンバー2以下のペンタゴン人事が進んでいない。

 直後に、ロシアのある戦略家が「プラウダ」(英語版)に寄稿してこう言っている。「アメリカは主要敵を読み違えた。アメリカの主要敵は中国であり、いまこそロシアを味方に引き入れたほうがよいだろう」