農村人口8億5000万人の中国で、「都市化率が51%」とは、つまり、13億の人口の6億5000万が都市に住んでいるということだ。これはすなわち、農村から2億人が消えたことになる。日本の2倍の人口が農業を捨てると、自給自足はおぼつかなくなり、中国は食料輸入国に転落した。いま同じことがEU諸国と旧ソ連圏で繰り返され、農村の過疎化は農地の砂漠化を招来し、いずれ国土の荒廃をもたらすことになるだろう。 日本の常識は中国の非常識であり、日本人と中国人は180度異なる。

 中国の統治者が用いてきた「偽り」と「騙しのテクニック」(これを中国では「厚黒学」と呼ぶ)を集大成させて統治しているから当面は維持可能である。いまの中国人がカネしか崇拝しないのは、カネ以外なにひとつ信頼できるものがないからである。中国人の心に「反日」と日本への強いあこがれが同居する奇々怪々ぶりが日本人には到底理解できない。

 2012年に中国各地で起きたあの「反日デモ」は、公安がネットでデモ参加者を募り、抗議スタイルを指導した、当局のやらせだった。そのネットがいまでは中国共産党の最大の脅威となって、外国へのハッカー攻撃を仕掛ける一方で、国内のネットを監視し、政府批判をすぐさま削除するのが当局なのだ。笑い話だが、共産党は権力を維持するために、ネット対策に必死なのである。

 陳破空氏の『常識ではあり得ない中国の裏側』(ビジネス社)には次のようなブラックユーモアが並ぶ。

「気持ちは反米、骨の髄は親米」(望むのは「中国夢」ではなく「アメリカンドリーム」)。
「官製反日と『肺を交換するための日本旅行』」(憧れの国に対する異常な愛情)。
「国の政策はコメント削除と軍事演習だけ」(マイノリティ共産党をあざ笑うネットの民たち)。「国を愛する人々が国を滅ぼす」(「不買」「デモ」「吊し上げ」の次に来る「革命」)。「私の最大の欠点は清廉であることだ」(誇り高き共産党高官たちのカネと権力「名言集」)。
「実は民主化を後戻りさせた『国父』孫文」(国民党、共産党双方が神格化した男の真実) 中国共産党のネット対策は熾烈、かつ本格的である。

 政府を批判するネット記事は即座に削除する。ものの1秒もかからない。共産党をつねに正しいとコメントする「やらせ組」は一つのメッセージを書き込むと「8円もらえる」仕組みを完成させた。これを「五毛幇」という(同書では「五毛党」になっている。1元= 16 円の半分が五毛)。

 これらのネットゲリラは「『愛国』の旗を振りかざし、自分たちは『政治的に正しい』と思いこんでいる。彼らはプロのネット集団である。(中略)中国共産党は総力を挙げて五毛党の拡大を図ろうとしている。2015年、共青団中央は1050万人の『青年ネット文明志願者』を」公募した。ボランティアとして、政府批判の書き込みを削除し、政府を礼讃するコメントを書き込む輩である。そのうえ中国の謀略は対外的にもネット上で進んでいる。 

 近年では、台湾の独立運動や香港の雨傘革命をなした民主派のホームページやネット議論に大々的に参入し、ネット議論をかき乱し、混乱させた。ハッカー技術でセキュリティガードの固い壁を突破し、自由陣営のネットに割り込んで世論をねじ曲げ誤導しようというわけだった。

 ところが、彼らが突破した台湾独立運動のネット論壇は、じつは中国共産党が設置したものだった。つまり国内のガス抜きも、自らが仕掛けたファイアーウォールで自作自演しているわけである。だから中国はややこしい。腹黒いのである。結局、「中国共産党がやっているのはネット削除と軍事演習だけ」(陳破空前掲書)。