こうした表現の批判に文句があるのならば、来年度から防衛費を毎年5兆円にしていただきたい。その際にはひれ伏して謝罪する。
 安倍内閣で防衛費が5年連続増額しているのを、評価する向きもあろう。しかし、防衛費1%枠などという何の根拠もない霞が関の掟を頑なに守っている枠内での話だ。合格最低点が60点だとたとえるならば、これまでが30点だったのが40点に上がったとて評価に値するのだろうか。

 トランプ米大統領は、「同盟国は義務を果たすべきだ。せめて防衛費を文明国水準のGDP2%にまで引き上げよ」と訴えている。
 好機ではないか。やれば良い。これだけ北朝鮮が暴れまわり、中国やロシアといった不安定要だらけの隣国に囲まれているのだ。日本が防衛費をGDP2%に増やしたとて文句を言うのは敵国だけだ。

 だが、国内には防衛費増額を拒む勢力がいる。財政支出抑制を金科玉条とする財務省主計局、彼らに唯々諾々と従う防衛省自衛隊、そして安倍首相。
 防衛費増額と憲法は何の関係もない。それとも、自衛隊が軽武装をできるだけの人数を充足させる、アメリカ軍楽隊よりもマシな訓練を行えるようにする、自衛官がトイレットペーパーの減り具合を気にしないで済むようになる。これらの予算請求もすべて憲法改正をしなければできないのか。だとしたら、その因果関係を立証できるのか。

 憲法改正をしなくてもできることなどいくらでもある。
 それを、「憲法を変えなければ何もできない」などと何もしなければ、「憲法の理念を守って何もするな」とする勢力と同じである。それとも、憲法の理念に従って防衛費増額をすべきではないと考えているから、「憲法9条を変えなければ何もできない」と考えているのか。
 だとしたら護憲派と改憲派は同じ穴のムジナである。
 本気で日本を想うなら、憲法9条を変えなくてもできることを先に全部やるべきではないのか。

 昔、阪神タイガースのオーナーは言い放ったらしい。
「2位が一番や。優勝したら給料を上げなアカン」
 昭和40年から48年まで、読売巨人軍が空前絶後のV9を達成した。阪神タイガースなかりせば、不可能だっただろう。

 長期低迷していたころの阪神タイガースを「ダメ虎」と言う。
 そもそも「2位が目標」など、目標そのものが間違っている。勝つ気がないのだから、勝てないのは当たり前だろう。そもそもが、「巨人のやられ役で飯を食おう」という負け犬ならぬダメ虎根性なのだ。
かつては「ダメ虎」と呼ばれた阪神の金本知憲監督ら=2017年4月、東京ドーム
かつては「ダメ虎」と呼ばれた阪神の金本知憲監督ら=2017年4月、東京ドーム
 某オーナー氏の理想は、シーズン最終戦まで優勝争いを展開し、負ける。ファンは最後まで一喜一憂するので消化試合が無い。そして優勝しないので給料は上げなくてよい。そして「今年は良く頑張りました。来年こそ優勝しましょう!」と盛り上がるが、いつまでも勝つ気はない。「やられ役商売」である。

 昭和40年代は2位争いの常連だったから、まだいい。最下位争いが指定席となっていた平成時代など、もっと悲惨だった。内輪もめと足の引っ張り合いは絶えず、強力な指導力を発揮した人物は一人もいないが、それでいて真の敗戦責任を感じ改革を成し遂げた人もいない。そうした惨状でもファンは見放さなかった、と言えば聞こえがいいが、要するに甘やかし続けた。誰もがぬるま湯に慣れていたのだ。だから、ぬるま湯から出たくなかったのだし、出ようとする人間を引き摺り下ろし続けたのだ。
 
 政治の世界でも似たような人たちがいる。
 日本社会党である。
 昭和20年に結成したこの党は、早くも2年後には第一党に躍進し、政権を奪取した。ところが党内の派閥抗争で何もできないまま、あっさり瓦解。以後は「政権恐怖症」とも言うべき状態に陥った。