マクロンは、ロスチャイルド銀行のあとオランド大統領のエリゼ宮官房に入ったのだが、その後、バルス首相時代に経済産業大臣を任命され、政治的野心がむらむらと起きたのだろう。短期間であった産業大臣時代の2016年4月、上場企業の株式を2年以上保有すると議決権が2倍になるという「フランランジュ法」が成立し、マクロンは早速ルノーや日産などの企業に興味を示したと想像される。

 日本でも、株式を長期保有すると株主優待を増やす企業がある。株式は長期保有こそが王道だとの考え方で、ナノセカンド単位で株式を売買する風潮に対する一石となると期待していたのだ。その一方で、たとえば3月末に株主名簿が確定してから3カ月近く遅れて総会は6月末に開催される。時として1日間だけ株式を購入し、翌日売却しても総会通知やら配当が届く。一日だけの株主として、総会で大口たたく場合もあることだろう。

 そんなからくりもある株主制度のウイークポイントだが、フランスでも対応がとられたことになる。

 実際問題、あの大企業「日産自動車」の株式を既に43.4%保有しているのはフランス政府なのだ。日産は今期、来期の税引き利益は6000億円規模にもなる。一方時価総額も約5兆円規模となっている。この投資をしたのは、ミッテランの官房長だった、シュバイツアーだ。同じ故郷なのであのシュバイツアー博士とは親戚なのだろう。シュ博士よりも学者的でやさしいおじさんだった。

 ところで、フランス政府はルノー株も14%長期保有している。とすれば、28%の議決権となる。これを利用しない手はないと動いたのが、産業大臣時代のマクロンだろう。そうはさせぬと騒いだのがカルロスゴーンだった。共に、フランスでエリート中のエリート学校を卒業している。ギャラリーも当然多くなる。

 今後は、日産自動車の支配や年間6000億円もの配当をめぐって、本格乱闘の再開も想定される。目が離せない。フランス人は「ヴィヴ・ラ・フランス」なので、日産ではなく名前を“ルノーフランス産”にしろと言い出すかもしれない。ヘーゲルをみっちり学んでいるので手強いぞ。