しかし今回の件は、違法性も道義的な問題もまったくない。現在の情報を前提にすればゼロだ。例えばネットでみかけた「疑惑」の例だが、「公募期間が1週間なのは加計学園ありきだ」というが、実は1週間とは公募期間の平均的な設定で優遇では全くないのだ。あるいは「土地の無償譲渡は首相が便宜したもの」という指摘もあったが、今治市議会が賛成多数で決めたことで、あくまで地方自治の成果だということになる。まさに「疑惑」は簡単に人の心に芽生えるという好例だ。

 実はこの件については、国会で追及した玉木議員自身が、フジテレビ系報道番組「ユアタイム」で違法性がないことを認めており、まったく理解に苦しむ。だが、民進党の蓮舫代表は、「いま急がれるのは共謀罪よりも加計学園や森友学園の究明だ」と断言している。違法性もなければ道義的責任もない、加計学園を単に政争のために利用していることは明瞭すぎるほどだ。なお森友学園については以前の連載で書いたので参照されたい

 また最近では、そもそも獣医学部新設の動きは、民主党や民主党議員、つまり現在の民進党議員らが積極的にすすめていたことが明らかになっている。これだけでも政党としてまったく首尾一貫していない。さらに追及の急先鋒(せんぽう)である玉木議員には、現段階でいくつかの問題が指摘されている。日本獣医師政治連盟から玉木議員は政治献金をうけ、または父親が獣医師であることで、既存の獣医師の利益を守るために行動する私的なインセンティブ(動機付け)が存在するということだ。

 既存の獣医師たちの多く、特に日本獣医師会は、特区における獣医学部の設置については従来反対であった。つまり、この意図を忖度(そんたく)しての政治的な動きではないか、という疑念だ。もちろん民進党が規制緩和に反対するのなら、それはそれで政策論争の意味で興味深い。
加計学園の獣医学部新設計画を巡り、民進党が開いたプロジェクトチームの初会合で発言する玉木雄一郎氏(左)=5月17日、国会
加計学園の獣医学部新設計画を巡り、民進党が開いたプロジェクトチームの初会合で発言する玉木雄一郎氏(左)=5月17日、国会
 だが、蓮舫代表や玉木議員がやっていることは、なにがなんでも安倍氏を首相の座から引きずりおろすための、怪文書を利用した不公正な扇動だけしかない。そこに朝日新聞など一部マスコミが安易に同調していることは、さらにあきれ果てるしかない。