政治や司法の在り方を変えていくことも大切だが、荻上氏が言うように、彼らの存在を「見える存在」に変えていく必要がある。近年メディアで活躍するオネエタレントたちの具現する「笑いの対象」としての見える存在ではなく、苦悩の中で必死に生きる、「実話」としてみえる存在の彼らを映画や小説、マンガが描き、大衆に広めていくことで、彼らセクシュアル・マイノリティーに対する理解は深まっていくのではないだろうか。

 ここまで、映画の中で描かれてきた同性カップルの里親問題や差別問題について述べてきたが、LGBTの存在が過去にないほど頻繁にメディアで取り上げられる「現代」を生きる若者は、同性カップルの里親制度についてどう考えているのだろうか。彼らの声を聞くべく、ある調査を行った。
筆者が同志社大生に行った「男性同性カップルの里親」に関するアンケート結果
筆者が同志社大生に行った「男性同性カップルの里親」に関するアンケート結果
(氏名と学生ID番号をモザイク処理しています)
 5月26日、筆者が同志社大で担当している全学部生を対象とする「国際教養基礎論」の講義の中で、この講義を履修している18歳から23歳までの大学生427人を対象に「男性同性カップルの里親制度を認めることに賛成か反対か?」をテーマに記述形式のアンケートを行った(本アンケートでは、平常点に関係ない協力調査を前提に、学生には自己の主観的意見を実直に述べるようお願いした)。

 結果は筆者が予想していた通り、427人中、賛成が344人、反対が83人。反対者の共通意見は、男女の役割を生物学上の「性別」で完全に二分化して捉えたもの、また「差別には屈服して我慢するしかない」と考えるものが多く見受けられた(以下、反対者の共通意見)。

「子供が学校でいじめられる」
「女同士のカップルは自然だが、男同士はBL(ボーイズラブ)の世界でない限り気持ちが悪い」
「自分の腹を痛めて生んでいない子供に愛情を注ぐことは難しい」
「男は仕事が忙しくて子育てをする暇がない」
「育児や家事は女性の方が得意である」

 反対者の中で特に多かったのは、「子供が差別を受ける」とする意見である。これは親側の「エゴ」で子供の将来が大きく変わってしまうことを危惧する世論の声を代弁しているかのようにも思える。また、「休日に男2人が子供を連れて町中を歩いている姿を想像すると違和感を持ってしまう」とする意見も多くあり、「男は外、女は内」といった固定的な性役割を求める社会の声が若者世代にまだ一定の影響力を持っていることが伺える。これまで家事や育児を担ってきたのが主に女性であったことを考えると、女性同士が子供を連れて町中を歩いている姿の方が自然に見えるとする意見はあって当然なのかもしれない。

 さらに、反対意見の中で最も興味深かったのは「血縁関係」について「女同士なら精子バンクなどで精子を購入すれば実子を身ごもることができるのに対して、男同士ではそれができない」という意見が多くあったことだ。