私は少なくとも、眞子さまの結婚に間に合わせるように法整備を行うのは反対である。前述のように、制度変更を個人の結婚のスケジュールに合わせるのは筋違いだからだ。また、結婚で皇籍を離脱し、民間人になられた女性皇族方が後で復帰するということは絶対にありえないわけではないから、いま慌てて決める必要はどこにもない。

 それに、もし女性宮家を創設して配偶者も皇族にするとなれば、眞子さまの結婚についても皇室会議の議決が必要になる。現在の皇室典範では、皇族男子の結婚は議決対象だが、女子の結婚は対象でない。

 さらに、民間人の男子が皇族となる最初のケースになるわけだから、本人の人格や係累などについて慎重な検討が当然必要になる。そうなれば、ご婚約をいったん保留にせざるを得ない論理的な帰結になるが、それを望む人は少ないだろう。

 皇位継承の範囲を広げる議論はいずれやらざるを得ない。悠仁さまの後、男子男系が続くとは限らないからだ。しかし、それなりの時間をかけることを排除すべきではない。むしろ、現時点の国民感情にこだわりすぎるのはよろしくない。

 仮に現在のルールと異なる皇位継承が行われるとしても、それは30年以上先のことになるだろう。そのときにおける皇室の状況において適切な議論を重ねるのが大事なのであって、いま個々の皇族に対して親しみを感じていたり、好ましい人だと評価していても、その感情が数十年後も同じように維持されているとは限らない。

 逆に、現在は違和感があっても、時間をかけて条件を整備すれば問題は氷解するものである。

「式年造替」を終えた春日大社をご訪問、秋篠宮妃紀子さまと長女・眞子さま =20日、奈良市春日野町
「式年造替」を終えた春日大社をご訪問、秋篠宮妃紀子さまと長女・眞子さま =2月20日、奈良市春日野町
 私がかねてより提案しているのは以下のようなことだ。

(1)現在のルールで決まっている順位を変更しないことを明確化すべきだ。つまり悠仁親王を廃嫡して女系天皇とすることはしない。
(2)旧宮家などの復活と、女系子孫による継承は両方とも可能性を探らなければ国民的合意が得られないので、互いに排除せず両方の可能性を残す。現状は両陣営が自説にこだわりすぎだといえよう。
(3)結婚された女性皇族出身者や旧宮家に公務を分担してもらうべきだが、それは宮内庁嘱託などの形で可能だ。
(4)皇位継承候補を増やすためには、旧宮家の人々や愛子さまや眞子さまなども含めた明治天皇以降の女系子孫の男子を、既存の宮家か、秩父宮、高松宮など廃絶した宮家に猶子(ゆうし)(養子)という形で継承させればよい。悠仁さまと同世代の男子に成人前後になって継承させることが適当だろう。
(5)形式的にせよ実質的にせよ、天皇陛下の子孫に皇位継承権を限定することは大義名分がなく避けるべきだ。なぜなら、ある天皇の子孫に継承権を限定するとすれば、その天皇が「中興の祖」のような天皇である必要があり、あるとすれば明治天皇しかない。古今東西、現在の君主の血統で王位を独占しようとして君主や取り巻きが起こした禍(わざわい)は枚挙にいとまないからだ。

 (3)に関しては、現在の制度だと眞子さまには1億円を少し超える一時金が支給されるが、これは結婚する娘に対する持参金のようなものである。これまで女性皇族の結婚は、かなり裕福な相手との結婚が前提になっており、眞子さまのご婚約報道を見る限り、小室家の経済力で眞子さまが元皇族としての体面が保てるかは正直疑わしい。