ARICは実行委員会との交渉の場で、「脅し」すれすれの言葉を使っています。たとえば、彼らは交渉の場においてこんな発言もしています。

「われわれと別の団体の男が講演会で暴れるかもしれないと言っている。負傷者が出たらどうするんだ?」

 これは直接的な脅しではありませんが、暴力をほのめかした恐喝と言えるものです。やくざ映画などで、親分が「わしは何もしないけど、うちの若い者の中には血の気の多い奴もいるのでな」というセリフを連想させます。

 また、外国籍のある女子学生が「百田尚樹の講演を聞いて、ショックを受けて自殺するかもしれない。その時は実行委員会としてどう責任を取るつもりなのか?」という発言もありました。これなどは悪質なクレーマーのセリフ以外の何物でもありません。いずれにしても、手慣れた「プロの活動家」のやり口です。

 対する実行委員会のメンバーは1、2年生が中心です。19、20歳の学生が、こんな悪質な圧力を2カ月近くも受け続ければ、たいていは参ってしまいます。実際、多くの学生が疲弊していきました。聞くところによれば、ノイローゼ状態になった人や、泣き出す女子学生までいたようです。こうして実行委員会の中にも「もうやめよう」と言い出す学生が次第に増えていきました。

 それでも「不当な圧力に屈しない」という思いを持つ委員会のメンバーは講演会を実施するために、万一に備えて警備会社に依頼したそうです。しかし反対派の執拗な圧力に、警備の規模が大きくなりすぎ、他の企画にまで影響を及ぼすほどになったようです(これは実行委員会が講演中止に至った理由として書いています)。

 そしてついに6月2日の夜、実行委員会のメンバーのほとんどが(一人を除いてと聞いています)、中止にしようと決めました。

 以上がことの顚末です。

 さて、ARICという団体ですが、その実態は不明です。代表は35歳の在日朝鮮人三世で、一橋大学の大学院生です。その活動のメインは、出版物や新聞、ネットなどから、「差別発言」を探し出し、それをデータベース化することです。2017年6月現在で、私をはじめとする120名を超える文化人や政治家など2700を超える発言が、「差別発言」として認定され、データベースに載せられています。その中には故人の発言もあります。しかし、そうして挙げられた発言のほとんどは差別とは何の関係もないものです。