朝日新聞の失敗を隠すため


 ところで、ここで反日メディアが問題にしているいわゆるヘイト・スピーチは、単に口汚い言葉の暴力だからいけないのではなく、排外主義的で、民族差別的だからいけないのだという反論があるでしょう。一見もっともな言い分ですが、こう主張する人たちが、ただ頭から「在日は差別されている弱者だ」と決め込んで、現在の実態を正しく把握しようとしないのはおかしいと思います。事実はすでに述べたとおり、在日の人たちは普通の日本人に比べて特に弱者であるわけではありません。もちろん、だからといって「朝鮮人は朝鮮半島に帰れ!」式の言い分が正しいとは言えません。それは主張として間違っているし、何の解決も示唆しません。何しろ彼らは帰るにも帰れないのですから。また在日の人たちは、折からの嫌韓ムードの高まりによって、いわれなきとばっちりを受けている側面もあるでしょう。そういうことが在特会の一連の言動によって助長されるとすれば、人間として許されることではありませんね。

 しかし一方、反日メディアがなぜ、在特会と山谷氏との関連性や、「カギ十字」によく似たシンボルマークを掲げた団体と高市早苗総務大臣との関連性を、単なる写真というイメージによってかくも執拗に植え付けようとしているのか、これもまた、ヘイト・スピーチに負けず劣らず、いや、それよりも数段狡猾な戦略だと言えます。彼らの動機は明らかです。要するに朝日新聞のみっともない大失敗によって敗色が濃くなったので、慌てて次なる反権力テーマを探し当て、そこへ向かって申し合せたように(じっさい申し合わせているのかな)エネルギーを集中させているのです。安倍政権は右翼、差別主義者、排外主義者やネオナチ団体とじつは結託している!――このイメージ操作に成功すれば、朝日の失敗は多少とも国民の目からぼかされることになる、というわけでしょう。

 民主党は負ける、反原発運動も伸び悩み、特定秘密保護法案アンチキャンペーンも効果なし、集団的自衛権閣議決定の阻止もままならず、そこへもってきて朝日の不祥事です。左翼メディア、ここは一発新規巻き返しとばかりに格好の攻撃材料を探り当てたと踏んだのでしょう。これは、中央に対する闘争に敗北すると、やれ沖縄だ、三里塚だ、アイヌだ、女性だ、薬害エイズだと、次々に新しい「弱者」なるものを見つけ出してはそこに政治闘争課題を移していったかつての左翼の手法と同じ構造です。

 これらに課題がないと言っているのではありません。反権力、反国家組織延命のためにそれらを利用する手口が、じつは真に問題当事者のことを考えているのではないというところが問題なのです。繰り返しますが、写真で同席していたなどのイメージ戦術は、反日メディアが常套手段として用いるじつに卑劣で姑息な方法です。これは、団体の言い分の妥当性をなんら検討しないのですから、言論機関としての役割を果たしていない自殺行為と言えましょう。