さて翻って都民ファーストの会である。候補者の面々を見ると、どう見ても即席の感は否めない。自民党、民進党からの移籍組はともかく、なにせ全く知名度がない候補者が多い。選挙なんてやったこともないものだから、右も左もわからないのだ。実際、都民ファーストの候補者からは「完全手探りでやっている」とか「本部からなんのアシストもない」などの声が聞こえてくる。事務所がなかなか借りることができない候補者もいる。が、それもある意味仕方ないだろう。なにしろ発足は去年の9月、まだ生まれたばかりなのだ。

 その都民ファーストの会の候補者、バラエティーに富んでいるのは間違いない。中でも女性に注目したい。これまで既存政党の公認候補と言ったら圧倒的に男性が多かった。それも20代、30代など若い世代はほとんどいなかった。それが、小池氏が都知事になり「希望の塾」を発足させたことで、多くの女性の政治参加の道が開けたことは大きい。

 女性のもやもやとした政治に対する不安、不満。つまり、ある人にとってそれは子育てだったり、介護だったり、仕事の見つけにくさだったりするわけで、女性が主に負担を強いられている今の社会の仕組みを何とか変えたい、という思いを小池氏と希望の塾はすくい取ったのだ。小池氏が都知事になれるのだから自分たちも都議になれば一緒に女性が住みやすい社会を作ることができる、とまさしく「希望」を持たせたのだ。

2016年8月、東京都庁に初登庁し、女性職員から
花束を手渡された東京都の小池百合子知事(左)(宮川浩和撮影)
 そして彼女たちは都議選への出馬を決意した。このことだけとっても都民ファーストの会が誕生した意味はあると思う。もともと都議会に占める女性議員の割合は2割に満たない。数にして126人中25人だ(2017年5月10日現在)。小池氏はこれを5割まで引き上げることを狙っている。

 もともと小池氏は「ウーマノミクス」の発案者だ。本気でそれを目指すに違いない。立候補した女性は小池氏の政治哲学の実現に向け、大いに力になることだろう。これは東京都の多くの女性にとって喜ばしいことであり、都民ファーストの会の最大の功績である。

 「なんだ女性だけか」と言われる男性諸氏にとっても、政治の世界で女性の比率が高まることは決して悪いことではない。小池氏は待機児童対策に大きな予算を割いた。女性が働きに出ることができるようになれば、家計の収入も増える。消費が増え、景気にとって好循環となるではないか。

 「女性が働く必要はない」とおっしゃる向きには、「では、一日中子どもと過ごしている専業主婦の気持ちを考えたことはありますか。本当にそれでよいのですか。彼女らのための政策を男性であるあなたが考えることができますか」と問いたい。そうした女性が孤立しないようにコミュニティーでの結びつきを作ったり、社会貢献の場を設けたり、そんな発想を期待できるのはやはり女性議員だろう。