受動喫煙対策も、そうだ。愛煙家の味方をする政治家は多く、いまだに国会では健康増進法改正案すら成立していない。これに対し、都民ファーストの会は、受動喫煙から子供を守るための条例と、公共施設や飲食店の屋内を原則禁煙とする罰則付きの条例の制定を公約に盛り込んだ。国がダメなら自治体の条例で、これも小池氏ならではの大胆な発想だ。他の会派からはなかなか出てこない。考えてみれば誰しも自分の孫や子供をたばこの煙から守りたいに決まっている。その当たり前の政策を実行できるのは悲しいかな、女性議員の行動力であろう。そういう意味において、女性の政治進出を加速しようとしている都民ファーストの功績は大きい。

 もう一つ。都民ファーストの存在が他の会派を刺激している点を忘れてはならない。最大会派の都議会自民党は危機感を募らせ、今期で引退する実力者内田茂氏も後継に51歳若い、27歳の女性候補を選んだではないか。都議会自民党からも民進党からも離脱者が出て彼らは都民ファーストから出馬するし、公明党は早々と都民ファーストとの連携を打ち出した。つまり、都議会会派の構成をダイナミックに変える可能性を生み出したのだ。もし、去年の都知事選で小池氏以外の候補が知事になっていたら、果たしてこのようなことが起きただろうか。答えは否であろう。
東京都議会閉会後、報道陣の取材に応じる内田茂都議(左)。高齢や健康上の問題を理由に、議員引退を表明していた=6月7日(富永順一撮影)
東京都議会閉会後、報道陣の取材に応じる内田茂都議(左)。高齢や健康上の問題を理由に、議員引退を表明していた=6月7日(富永順一撮影)
 さらに言えば、こうした都民ファーストの動きが国政にも影響を与えようとしている点だ。都民ファーストが地域政党のままでとどまるのか、かつての日本新党のように国政に打って出るのかは現時点で知る由もないが、民進党の長島昭久衆議院議員が離党したように(後に除名)、国の政局にも影響を及ぼし始めている。長島氏は小池氏とも近く、「7月2日以降、政局が大きく動く可能性がある」と明言した。都議選の結果を受け民進党の蓮舫代表の責任論も噴出しよう。都民ファーストが誕生しなければ政局は動く可能性すらなかったろう。

 おりしも国会では森友学園問題に続く加計学園問題で紛糾している。都民ファースト公認のある候補者は、有権者から安倍政権に対する不満の声を耳にするようになってきたと述べた。少しずつそうした空気がたまってきている気がする、と。

 「安倍一強」が長期化する中、景気が何とか持っているうちはまだ政権の支持率は維持できるだろう。北朝鮮からの相次ぐミサイル発射も、政府与党にとってはある意味追い風になっている。しかし、だ。おごれる平家は久しからず。都民ファーストを侮るなかれ、だ。いつの時代も権力者は民の声に耳を貸さなくなった時点でその後の末路は見えていた。

 都民ファーストを持ち上げたいのではない。しかし、そもそもなぜ小池百合子都知事が誕生したのか。なぜ都民ファーストの会なる地域政党ができたのか。その原因を分析せずして、これからの政治、これからの日本の行く末を読み解くことはできないと思うのだ。