だが、フランスやベルギー、ドイツなど欧州でテロが続発する中で、英国だけが無関係のままでいられるはずはない。ロンドン警視庁のホーガンハウ元警視総監は昨年、英国でテロが起きるのは時間の問題とし、英国内のテロの警戒レベルが5段階中の「4」であることを「テロがかなりあり得る」ことを意味すると警告していた。

 英国や欧州の治安当局者は今回のロンドン・テロをきっかけに各地でテロが続発するのではないかと恐れている。というのも、シリアとイラクのISが現在、戦場で軍事的に追い詰められ、組織崩壊の瀬戸際に立たされているからだ。

 イラクでは、ISの最後の拠点である北部のモスルがイラク軍によってすでに市全体の4分の3が奪還され、5月までには完全制圧されるとの見通しが強まっている。モスルが陥落すれば、ISは事実上イラクから一掃されることになる。
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」との戦闘で、前進するイラク軍特殊部隊
イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」との戦闘で、前進するイラク軍特殊部隊
 シリアでは首都のラッカ包囲作戦が進み、クルド人らの武装勢力がラッカから10キロ程度にまで迫っている。トランプ政権もシリアの米部隊を増派し、すでに1000人程度が駐留。近く2000人にまで増やすと伝えられており、迎え撃つISは組織存亡に直面している。

 治安当局はISがこのように戦場で劣勢になればなるほど、欧州などでのテロが増えると見ており、ロンドン・テロを契機に欧州に潜入しているISの休眠細胞が一斉に動き出すという懸念がある。

 ロンドン・テロの後にベルギー・アントワープ繁華街でも車が暴走しようとした事件が発生。トランクからライフル銃などが見つかり、男が拘束された。2月の初めにはパリのルーブル博物館の前で、またこの3月18日にはオルリー空港でテロが未然に食い止められている。テロ続発の兆候は現実のものだ。

 欧州では今、「反イスラム」「反移民」を掲げる極右が台頭している。最近のオランダ下院選挙では極右の自由党が票を伸ばし、今後のフランス大統領選挙、ドイツ総選挙などでも極右勢力が勢いを増している。テロが続発すれば、こうした極右が勝利することになりかねない。欧州の政治にテロは直結している。