「NO」と言わない習慣は、秘書にとって、これほどまでに絶対的なものなのだ。

「上司の指示を、その言葉どおりに受け止めると、できないこともあります。しかし、『本当は何を求めているのか』を理解すれば、言葉どおりのことはできなくても、それに代わる提案をして、上司に喜んでもらうことができます。

 上司によっては、具体的なやり方まで指示する人もいるでしょう。でも、それは他のやり方を知らないだけかもしれませんから、真意を読み取る必要があると思います」
 たとえば、上司はAというものを所望していたとする。でも、上司が知らないBというものも好みかもしれない。そういう場合は、さりげなく、AとBの両方を提示する。すると、Bを選択することもあるという。

「上司に対してNOと言わないのは、決して受け身になるということではありません。むしろ、主体的に行動することが重要なのです」

 上司が喜びそうな行動を主体的に起こせるようになるためには、上司を「観察する」習慣を持つことが欠かせない。なかなか本心を見せない上司でも、日常の些細なことを観察することで、どんなことをすれば喜ぶのかがわかるようになるという。

「『今日は表情が硬いな』ということに気づければ、『機嫌が悪いかもしれないから、複雑な話をするのはあとにしよう』といった判断もできるようになります。

 好きな人のことなら、どんな小さなことでも見逃しませんよね。ですから、私がお勧めするのは、心の中で『好き』と思いながら上司に接することです。人は、本心でなくても、『好き』と思いながら相手を見つめると瞳孔が開いて、相手が心を開いてくれやすくなるそうです。

 どうしても『好き』と思えなければ、お給料をくれる上司の顔を1万円札だと思えば、好きになれるのではないでしょうか(笑)」