上司の指示を実行し、ときにはそれ以上の提案をすることは、自分1人だけの力でできることではない。幅広いコネクションを持ち、協力を仰げるようにしておくことも重要だ。コネクションを築くための習慣はあるのだろうか。
「上司の仕事のために、さまざまな方と話をさせていただく機会があります。そのあとで感謝のメールを送るのですが、その文面の最後に『何かありましたら、お知らせいただければ、お力になります』と添えて、実際に何かあれば積極的にお手伝いすることでお近づきになれます。

 ただし、利用したいという気持ちでは、相手が離れていってしまいます。『愛情』を持って接しているかどうかは、必ず伝わりますから」

「愛情というと陳腐な響きがするかもしれませんが」とフラナガン氏も話すが、やはり仕事のベースは愛情だという。

「上司に対しても同じです。私は、最初に勤めた会社で、上司からひどいパワハラを受けました。それで、胃を痛めて吐血したり、1円ハゲがいくつもできたりしました。でも、パワハラ上司に対して萎縮したら負けなんです。

 もちろん、パワハラは許される行為ではありませんが、『ご指導ありがとうございます』とお礼を言うくらいの気持ちで愛情を持って接すると、かえって上司のほうがひるむものです」

 愛情は、自分に対しても向ける必要がある。

「秘書の仕事は『できて当たり前』なんですね。どんな難題をこなしても、上司は褒めてくれません。だから『自分で自分を褒める』ことが不可欠。鏡を見たり、自分で自分の肩を抱いたりしながら、『よくやってる』などと褒めるのです。

 そして、完璧な仕事ができなくてもあまり落胆しないことも大切。完璧にできなくても、軽く反省するくらいでいいのです。ゲームで少しポイントが減点されるくらいのもの。努力はいずれ何かしらの役に立つはずです」

《『THE21』2017年5月号より》
《取材・構成:西澤まどか》

フラナガン・ゆみこ 国際コミュニケーション・コンサルタント。1967年生まれ。津田塾大学卒業。スイス・ユニオン銀行を経て、バンカース・トラスト銀行から秘書のキャリアをスタート。以降、ドイツ証券、メリルリンチ証券、リーマン・ブラザーズ証券など、5つの外資系企業と日系企業で、日本人、米国人、英国人、アイルランド人、スイス人、豪州人、香港人、韓国人という8カ国のエグゼクティブをサポート。著書に『伝説の秘書が教える「NO」と言わない仕事術』(幻冬舎)など。