都議会自民党は、「豊洲への市場移転」を早々と都議選の公約に掲げ、小池知事に対して「決められない知事」のレッテルを貼り攻撃を始めた。豊洲市場への移転に関して、何らかの決断をしなければ、都議選でますます攻撃を受ける状況だった。
築地市場の豊洲移転問題で会見する小池百合子都知事=6月20日(桐原正道撮影)
築地市場の豊洲移転問題で会見する小池百合子都知事=6月20日(桐原正道撮影)
 小池知事は、いわば追いつめられた形で「決められない知事」の汚名を返上すべく、都議選の告示直前になって「豊洲移転、5年後に築地の市場機能復活も含めた活用を検討」という、なんとも中途半端な併用案を打ち出し、「決めました」とばかりに選挙戦に持ち込んだ。

 小池知事の併用案は、「豊洲と築地の両方に市場機能など不可能」「財源をどうするのか、まったく明らかにしていない」などと玄人筋にはきわめて評判が悪かった。「選挙目当てのパフォーマンス」と都議会自民党も攻撃のトーンを高めたが、意外や意外、告示期間中の6月24、25両日に通信社・新聞社等が共同で行った世論調査では、小池知事の「豊洲・築地併用案」を約55%が「評価する」と答えた。

 巧みな争点隠しだ。「豊洲には移転するが、自民党案とは違う」と見せることで、有権者を納得させてしまった。第一のアキレス腱が断裂せずに済んだ。

 第二のアキレス腱は、小池知事が都知事選に立候補する際、自民党本部に「進退伺」を出して、そのままになっていた、ということだ。

 これも、都議会自民党は、「自分の出処進退も決められないのか」と「決められない知事」のイメージ強化に躍起となった。だが、6月になって小池知事が自民党に離党届を提出、都民ファースト代表になったことで、「都民ファーストの会VS都議会自民党」の対立図式がかえって鮮明となった。

 もともと、小池知事が約291万票を獲得した中には、自民党支持層も含まれていたため、自民党を離党したことで、自民党支持層が離れるのではないかと懸念された。その自民党が、国政レベルで組織犯罪処罰法改正案の中間報告による国会採決、加計学園問題での野党の批判、「魔の2回生」豊田議員の暴言・暴力問題が明るみに出るなど守勢に立たされ、都民ファーストが国政レベルでの自民党の対応に不満を持つ党支持層の「受け皿」になってしまった。第二のアキレス腱も、自民党の「オウンゴール」で断裂を免れた。

 第三のアキレス腱は、「都民ファーストの会」という地域政党の存在そのものにある。都議会自民党は「二元代表制の中で、小池知事の意向を一方的に実現する勢力を都議会で作るのは健全ではない」と攻め立てた。けだし正論ではある。

 世論調査の結果を見ても、小池知事への支持は、一時期の8割超から漸減し、都議選の告示後は60%台半ばくらいにはなっていたが、それでも高い支持率を誇っていた。一方、都民ファーストへの支持は、小池知事への支持よりはるかに低かった。