次に、ヒアリの特徴を説明します。

 ヒアリはもともとブラジル、アルゼンチン、パラグアイ国境の熱帯雨林に生息するアリです。体長は2.0ミリ~6.0ミリとばらつきが大きいのが特徴です。体は、頭部と胸部がやや赤茶色、腹部が黒色で全体的に光沢があります。

 ただ、一般の方がヒアリを形や色からだけで識別できるかというと、かなり難しいのではないかと思います。現在、日本社会性昆虫学会がサイトでQ&A形式で基本的な情報をビジュアル付きで解説しております。

 日本のアリとの大きな違いはその動きと攻撃性です。たとえば、巣を壊したときの反応が非常に素早く、また躊躇(ちゅうちょ)なく刺してきます。
 
 また、女王アリの産卵能力が高いことでも知られており、1個体の女王アリが条件さえ整えば1時間に平均80個ほど卵を産むことができます。女王アリの寿命は6~7年。生涯で産む卵の数は200~300万個といわれています。

 原産地では一つの巣に女王アリは1個体いることが多いのですが、侵入地では10個体前後、多いときには100個体を超える女王アリがいて、それぞれが産卵している場合もあります。このことが、さらに繁殖力を高めています。

 原産地では、ヒアリは熱帯雨林の中に巣を作らずに川べりの赤土の露出したところに巣を作ることが多いです。そういった場所は雨期には増水し、巣を破壊します。そのときにヒアリは働きアリ同士が協力して「イカダ」を作ります。その上に女王アリや幼虫・卵・さなぎを乗せ、川を下っていきます。そうして適した場所にたどり着いたら、上陸しそこでまた新たな巣を作っていきます。

コンテナ周辺でヒアリがいないか確認する鳥取県職員ら=
 7月6日、境港市の境港
コンテナ周辺でヒアリがいないか確認する鳥取県職員ら
=7月6日、境港市の境港
 まさに、自然条件下でも厳しい環境の変化に適応しており、それが侵略的外来種としての特質をすでに持っていたということもいえるかもしれません。
 
 これから私たちはどのようにしていけばよいのでしょうか?

 まずは落ち着いて行動しましょう。現在、過度にヒアリの被害を強調されています。それらの情報に振り回されないよう冷静に対処しましょう。現段階でヒアリがすぐに大繁殖することはありません。その上で適切な対応を考えていきましょう。

 特にこれは行政・研究者レベルの話ですが、まずは供給源となっている地域を特定し、その地域と連携しながらヒアリの駆除プロジェクトを立ち上げるべきです。

 より広範囲にわたって貿易を行い、しかもそのスピードも頻度もどんどん増加している21世紀。私たちは今回のヒアリの侵入から、人間活動の活発化がもたらす光と影を深く理解し、影の部分のリスクに対してしっかりとした覚悟を持って対処していくことが大切です。