支持率が低下した時期を見ると、やはり森友、加計学園問題で次々に明らかにされた省内文章の扱いや、安倍昭恵夫人との関係が大きく作用していることがわかる。とりわけ森友学園問題は、テレビ向きの籠池泰典前理事長の存在が大きく取り上げられるきっかけとなったことも確かであろう。ここでも安倍首相との近しい関係が話題になっている。閣僚の問題と同様に、身内を守ろうとする態度に、やはり疑問を持つ有権者が多くいたのであろう。

 より詳しく見ていくと、女性の支持率の低下が著しいようである。女性の活躍推進を目指した「1億総活躍社会」を政権の主要テーマとした中で、安倍首相は女性の活躍を目指せる社会を具体的に構築したのであろうか。単に閣僚などに、数合わせのように複数登用するだけではなかったのか。

 その中で安倍首相が重用してきたのが稲田朋美防衛相である。衆院当選4回というキャリアから見ても、かなりの引き立てであることは間違いない。しかしながら、稲田氏は、南スーダンの日報問題、森友問題での国会発言の訂正、都議選での法律に抵触しかねない失言、災害時の離席など、次々に資質を疑われるような出来事が露呈された。これだけでも更迭されても仕方のない案件であるのに対し、首相官邸は守り続けた。この対応がひいきの引き倒しと思われたのではなかろうか。

ロシア、英国訪問を終え帰国した安倍晋三首相と昭恵夫人
=4月30日、羽田空港
 森友、加計問題における昭恵夫人の関与も多くの関心を集めた。ともに名誉職とはいえ両学園の要職に名前を挙げられていたにもかかわらず、関与はないとされたのである。確かに、学校認可に直接的な関与はなかったであろうが、近しい関係が疑惑を招いたり、テレビや雑誌には興味深い題材として格好の「ネタ」とされた。いずれも女性のかかわるものだった。

 このように、安倍首相を取り巻く女性に問題点が多く指摘されたことにより、女性からの反発を買ったのではないか。すなわち、1億総活躍社会を目指した安倍首相が、ひいきの引き倒しで女性を登用するだけで、あたかもさらし者にしているように見えたと思われる。

 少し違う状況で支持率の低下を招いたのが、小泉純一郎政権下で田中真紀子外相を更迭したときである。絶大的な人気を誇った小泉政権で、ある意味女性人気を支えていたのが田中外相であった。官僚との間に軋轢(あつれき)が生じても、国民人気は高いものがあった。だが、この更迭によって、内閣支持率は大きく低下した。女性人気は女性が支えているだけに、失望すると反感の材料となる。こうした形式的な女性登用は一時的な支持には直結するが、恒常的につなげることは難しい。