さらに昨年登場した東京都の小池百合子知事は、こうした女性の支持を集めるのに最適な政治家であったといえる。都議選で「守旧派」といえる都議会自民党を敵に回したこともあり、安倍首相と小池知事の比較では、女性活躍の期待感は小池知事のほうが高い。これらが総合的に女性の支持を失ったのではなかろうか。
東京五輪・パラリンピック費用負担問題で安倍晋三首相(右)との会談に臨む東京都の小池百合子知事=5月11日、首相官邸(斎藤良雄撮影)
東京五輪・パラリンピック費用負担問題で安倍晋三首相(右)との会談に臨む東京都の小池百合子知事=5月11日、首相官邸(斎藤良雄撮影)
 したがって、8月に予定されている内閣改造で支持率を回復することは難しいのではなかろうか。女性を登用すればいいというほど簡単なものではないだろう。女性の政治参加も増えていることを考えると、当たり前のことではあるが、女性の登用や要職就任の数値設定ではなく、1億総活躍社会のあり方を根本的に考えなくてはならない。たとえば、待機児童の問題も、その大きな要因となるだろう。国全体として考える発想を持たないことには解決は程遠いように感じる。

 もちろん女性に限らず、男性からの支持も離れているため、より大きな問題点もあると考えざるを得ない。例えば、加計問題や防衛省の日報問題などに関して中堅官僚と思われるリークも気になるところである。「官高政低」といわれた状況を打破するために、政治主導を取り戻そうとしたのが安倍政権ではなかったのか。その意味では、官僚を押さえつけるのではなく、使いこなすか共生することが必要となる。人事権を握れば、官僚の反発を抑えることにつながると考えているようであれば間違いである。

 こうした点が「政権のおごり」ともいわれる状況になったことを表している。やはり強引な法案採決や説明を省略したかのような姿勢は問題があると言わざるを得ない。高い支持率が過信につながったとしか思えない。一方で、必ずしも発想や政策そのものに大きな失点があるわけではなく、手続きの齟齬(そご)や官僚の推量が疑惑の温床となった。

 やはり国民に直接向き合うことが必要である。国会審議も、対野党ではなく国民に対する説明だと思えば、今国会で見られたような、木で鼻をくくったような説明ではなかったに違いない。権力に長く居座れば腐敗するという「権腐十年」ではないが、安定政権を目指すことの難しさともいえるかもしれない。