一般的に、籠池氏のような学校経営者と政治家の間に、日常レベルでさまざまな接触があったとしても、別におかしな話ではない。運動会など学校行事に地方政治家や国会議員が、選挙対策として顔を出すのはよく知られていることだ。自民党や日本維新の会のような「保守」が塚本幼稚園に顔を出し、「教育方針が素晴らしい」などリップサービスを交えた来賓祝辞をしたことは、容易に想像できることである。

 そんな日常的で気楽な付き合いの延長線上で、籠池氏が「小学校を設置したい」と、言い出すようになったのだろう。最初は地方議員に陳情を繰り返し、話がなかなか進まないと鴻池祥肇元防災担当相のような国会議員に陳情をしていったということだ。「学校の認可・設置に関する政治家への陳情」というだけならば、どこの地方でもよくあることだ。「政治家が相談に乗る」「役所の担当者を紹介する」程度のことなら、別に珍しい話ではない。

 実際、鴻池事務所に対する籠池氏の「陳情報告書」の記録が明らかになっている。そこには、鴻池氏の元秘書・黒川治兵庫県議会議員(自民党)や、中川隆弘大阪府議会議員(大阪維新の会)らの名前が出てくる。彼らは、再三再四に渡って、籠池氏から「鴻池事務所につないでほしい」と依頼を受けていた。そして、「相談に乗ってあげてよ」という形で、鴻池事務所につないだという。ここまでも、まだ通常の陳情の範囲内だ。

3月1日、森友学園の籠池泰典理事長との面会について説明する
自民党の鴻池祥肇参院議員。口利きなどの関与を強く否定した
 しかし、2016年3月に森友学園が、くい打ち工事を行う過程で新たな地下埋蔵物が発見されたことをきっかけに、資金不足のために土地を賃貸することから、突然購入に方針転換してからは、陳情攻勢のしつこさが尋常ではなくなった。報告書には、「うちはコンサルタント業ではありませんので」「うちは不動産屋と違いますので。当事者同士で交渉を!」「どこが教育者やねん!」「大阪府の担当者は、土地以外(の生徒募集)を一番懸念されているようですが」などと、籠池氏のあまりにしつこい陳情に、鴻池事務所があきれかえっていた様子が記されていた。

 そして、籠池氏は、要求に応じない近畿財務局を飛び越えて、財務省理財局を訪れて直談判に及んだ。その際、理事長は鴻池事務所にアポイント取りを依頼したが、断られていた。しかしアポイントなしで理財局に乗り込み、ゴミ処理代を8億1900万円とする内諾を得て、評価額9億5600万円の国有地を、1億3400万円で購入したのである。

 要するに、籠池氏は地方・国のさまざまな政治家に接触し、近畿理財局にも掛け合ったが、国有地を安く購入することはできず、財務省理財局訪問のアポ取りさえ断られていた。彼が理財局に直談判して、初めて森友学園の要求が通ったのだ。つまり、地方議員も鴻池氏も、ルールに従って事務的に対応していた近畿理財局を動かすことはできなかったのだし、そもそも動かす気がなかったように思われる。ここまでは全て通常の「陳情」であり、何も違法性はない。