同様に当初「日報」を「破棄」した経緯も批判されたが、これも当を得ない。今度は監察結果を借りよう。

 本件日報は、「注意」、「用済み後破棄」の取扱いであるが、これらに関連する標記の表示がなされておらず、関係者において、必ずしも認識が統一されていなかった。また、平成28年8月3日付の日報からこれらの標記が表示された。

 もともと「用済み後破棄」されるべき日報である。ポレミック(論争的)に言えば、用が済んだにもかかわらず、そのデータが「破棄」されず、“保管”されていたという“問題”にすぎない。

 さらに言えば、マスコミは「保管されていた」と報じたが、いったん陸自の指揮システムにアップロードされたものを、誰かがどこかで閲覧(ダウンロード)すれば、ほぼ自動的にそうした状態が発生してしまう。
公表された「特別防衛監察の結果について」
公表された「特別防衛監察の結果について」
 単に、それだけの話である。もともと、大騒ぎするような話ではなかった。だが、他ならぬ防衛省が自ら火に油を注いだ。稲田大臣が特別防衛監察を命じ、今日に至る結果を自ら招いた。

 監察結果は「改善策」として、以下の3点を挙げた。

(1)適正な情報公開業務の実施
(2)適正な文書管理等の実施
(3)日報の保存期間等のあり方の検討及び措置

 それらより、例えば電子データの取り扱いを今後どうすべきか、といった視点のほうが重要なポイントではないかと思うが、監察結果にそうした問題意識はない。最後の「結言」はこう述べた。

 防衛省・自衛隊の活動には、国民の理解と支持が不可欠であり、国民に説明する責務を全うすることが、極めて重要であることを認識し、改善策を早急に講じた上で、各種業務における適正性の確保に万全を期すべきである。

 以上に納得した国民が一人でもいるだろうか。もしいるなら、たぶん稲田大臣ひとりであろう。焦点の「隠蔽了承」について、監察結果は上記引用個所の注記で以下のとおり記した。まず、フジテレビが当日の詳細な報告場面のメモまで明かした2月13日の統幕総括官および陸幕副長による防衛大臣への日報に関する報告について、こう書いた。

 その際のやり取りの中で、陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった。

 同様に2月15日の事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官による防衛大臣への日報に関する報告についても、同じ表現が用いられた。