果たして、2月13日および15日に、日報データの存在が報告されたのか。監察結果は、上記の表現で、巧妙にその判断を避けた。

 今回、最も真相に迫った報道を続けたフジテレビは7月28日午前のニュース番組でメモの存在を改めて指摘しながら「真相を明らかにしませんでした」と監察結果を断罪した。

 日本テレビの番組でも政治部長が「稲田大臣が関わったわけではないと結論付けたわけではない」と解説した。TBSも「曖昧な表現にとどめた」と報じ、テレビ朝日も「保管の事実は(稲田大臣に)伝えていたことがANNの取材でわかっています」と明言し「十分に解明されていません」と監察結果を批判した。NHK総合テレビも正午のニュースで「解明できない点も残りました」と報じた。

特別防衛監察の結果を公表する稲田防衛相
=7月28日、防衛省(納冨康撮影)
 他方、稲田大臣は辞任表明会見で「私への報告がなかった」と明言、監察結果を“錦の御旗”に掲げながら、「隠蔽了承、そのような事実はない」と断言した。フジテレビが報じたメモについても、「しかしながら、私の認識を覆す報告は一切なかったと承知しております」との表現で、報じられた事実関係を全否定した。

 もし、稲田大臣が真実を語ったとすれば、これまで全マスコミが誤報を繰り返したことになる。ひとり大臣を除き、防衛省・陸上自衛隊の主要幹部らがウソをついたことになる。あろうことか、メモまで捏造(ねつぞう)し、大臣を陥れたことになってしまう。

 真実はひとつ。大臣への報告はあった。監察結果のとおり「日報データの存在を示す書面を用いた報告」はなかったとしても、大臣室における口頭での報告は複数回あった。そうとしか考えられない。同時に、稲田会見もまた真実を語ったとすれば、大臣は複数回にわたる口頭報告の中身を正しく理解できなかった。そういうことになろう。いずれにせよ「自衛隊の隊務を統括する」(自衛隊法第8条)防衛大臣がすべての責任を負う。その大臣が部下に責任を転嫁するなど、あり得ない。

 この1年間で、防衛省・自衛隊が失ったものは大きい。次の防衛大臣が背負う責任は重大かつ深刻である。