妻も夫も相手に期待しているものがあります。理想の妻として「昼は淑女のように。夜は娼婦(しょうふ)のように」といった言葉もありますが、実現は難しいでしょう。私の王子様だと思って結婚したのに、王子様とは程遠い男の生活ぶりに幻滅する妻もいるでしょう。
 愛していて、期待していたからこそ、裏切られたときの失望はとてつもなく大きなものになります。勝手にイメージしていただけなのですが、相手に失望し、結婚生活に絶望することもあるでしょう。

 現代人は、昔と比べて大量の情報を持つようになりました。自由に行動できることも増えました。同時に、人間関係能力は下がってきました。そんな現代の男女二人が共同生活をするのですから、トラブルも当然です。かつては妻の当然の義務とされていた事柄が、現代社会では義務だとは考えられません。夫は昔ながらに妻の義務だと感じていて、妻は義務ではないと感じていれば、衝突は激しくなるでしょう。本当は話し合いが必要なのですが、それには高い人間関係能力が必要になります。

 話し合うためには、聞くことと話すことが必要になります。男性は、自分の思いを話す「自己開示」が少なく、女性のそれは多いといわれています。男性はひと言足りなくて失敗し、女性はひと言多くて失敗することがあるでしょう。男性は自分の不満を話さずに怒りをため込み、爆発することがあります。女性は、自己開示の量が過剰でタイミングが悪いこともあります。

 疲れ果てて帰ってきた夫をつかまえ、猛烈な勢いで語る妻。夫は、妻の話が聞けなくなり、拒絶します。人は心を開いて話しているときに拒絶されると激しく傷つきます。気が強い人なら怒り出し、気の弱い人なら泣き出すでしょう。

 また、女性は話し合うことで問題を解決しようとし、男性は話さないことで問題を解決しようとします。妻から問題の話題をふられると、夫は「オレがせっかく忘れようと思っているのに、なぜ蒸し返すのだ!」と腹が立ち、聞こうとしません。そうすると、妻は「せっかく解決しようと思っているのに、なぜ逃げるの!」と怒ったり悲しんだりします。本当は二人とも問題解決を願っているのに、互いに相手が問題解決を願っていないように感じるのです。