例えば、妻が暴言を吐くきっかけとなった理由の1つに夫の不倫があるとします。つまり、妻が夫の不倫を知っていて協議離婚になったケースでは、妻は「勝手に不倫をしておきながら、離婚をして自分だけが幸せになるなんて許せない!」と、離婚に対してなかなか納得することができません。夫の不倫を知らずに別の理由で協議離婚にいたったケースとは異なり、そこには「浮気夫」への恨みつらみが別の感情として新たに加わるため、「裁判までもつれたとしても、絶対に別れないから!」とこじれることが多い、と専門家からも聞いています。
通夜に参列した松居一代=2012年11月1日、兵庫県西宮市(彦野公太朗撮影)
通夜に参列した松居一代=2012年11月1日、兵庫県西宮市(彦野公太朗撮影)
 協議離婚と調停離婚が不調に終わると、次は裁判離婚になります。裁判離婚は係争が数年に及ぶことも珍しくないなど、長引くことが前提とされています。また、結婚生活の長さや夫婦がともに築いてきた財産の多さなどによっても争点が変わるため、落としどころが難しいとも言われています。

 例えば、結婚後に築いた夫婦の共有財産については、「夫が仕事で成功をつかんだ背景に、妻のひたむきな努力があった」ということも考慮され、離婚の際には折半しなければなりません。今回の松居さんと船越さん夫婦の場合、莫大(ばくだい)な財産をどうするか、ということが大きな問題になります。さらに、そこに「感情面でどう折り合いをつけるか」というやっかいな問題もプラスされるのは明らかでしょう。

 「裁判離婚は、お金と感情が絡めば絡むほど長引くもの」とは、業界でささやかれている暗黙のルールです。お互いの妥協点を見いだすためにも、事情を理解した弁護士をつけることが裁判の流れを変えるカギになるかもしれません。

 離婚は、こじれた夫婦関係を解決する唯一の選択肢ではありません。しかし、離婚という道をかたくなに拒むことで得られる幸せが大きいか、というとそこにも疑問が残ります。

 大切なのは、爆発妻のいたらなさを責めたり、妻を満足させられなかった夫に罰を与えたり、といったことではありません。「どういう生き方をしたら、これから自分自身が幸せに心穏やかに毎日を過ごしていくことができるのか」ということを、夫婦がお互いに思いやりを持って考えることです。そうすれば、その先に必ず希望の光は降り注いでいるはずです。