──読売は「前川氏は取材に応じなかった」と。

「メールで質問は来ましたが、答えてもちゃんと報じないだろうと思って答えませんでした。読売の記事に『値段の交渉をしていた女の子もいる』と話す女性のコメントが出ていますが、そんな記憶はありません」

──読売報道を官邸の圧力と感じたか。

「正直、取材のメールが来てもあの読売新聞が実際にこんなことを書くとは考えていなかった。日本を代表するクオリティ紙ですよ。しかも、書いてしまったら威嚇にならない。実際に記事が出た時には、やはり当惑しました」(読売新聞グループ本社広報部は買春バー通い報道と〈総理のご意向〉文書の関係について「記事掲載の経緯についてはお答えしていません」と回答)。

 核心の加計疑惑に質問が及ぶと、中立公正であるべき行政が歪められたという思いを口にする。

「一番おかしいのはこの規制緩和に『確たる根拠』がないことです。文科省が大学設置認可権という国民から与えられている権限を行使し、私大の新学部が設置されれば、税金から私学助成金が出て、国民負担が発生する。獣医師は現状で足りているとされているので、文科省の認可基準で獣医学部は一般的に『設置不可』となっています。

 特例を設けるのなら、確たる根拠が必要ですから、新たな分野でどういう人材需要があるのかという『需給見通し』を具体的に明らかにするためにも、農水省や厚労省抜きでは決められないと主張した。

 だが、規制改革の所管省庁である内閣府は『トップダウンで決めるからそれに従え』というスタンスで、獣医学部新設のためにクリアすべきと定めた条件(2015年6月閣議決定)を満たしているのか、明らかにしようともしませんでした。安倍首相が議長の国家戦略特区諮問会議で決定するから、文科省は責任を負う必要がないという姿勢です」(前川氏)

 その経緯が残されたのが、〈総理のご意向〉文書だったわけだ。

「文科省専門教育課の課長が内閣府に足を運んだとき、地方創生推進事務局の審議官からいわれた言葉です。(内閣府の側は否定しているが)私は自分の部下の報告を100%信じている」

 前川氏はそう言葉を継いだ。

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