この現実を融和的に解決するには、仕方がない組織論理なのだとも理解できる。しかし、それではいつまでも矛盾を抱えた政党であり続けるだろう。折しも民進党新代表を選ぶ選挙が9月1日に行われる。その具体例で課題を示したい。

 安倍政権を終わらせ、もう一度政権交代を実現するのが野党第一党の至上命題である。民主党政権の失敗に対する批判はいまだ払拭できていないが、そこから脱する試行錯誤は続いてきた。その一つが蓮舫代表時代に設置された、いわゆる「前原調査会」だった。

 前原誠司議員が昨年の代表選で提唱した提言で、慶応大の井手英策教授の研究成果を政策化する取り組みであった。「All for All」という言葉に表されているように、「すべてのひと」のために「すべてのひと」が貢献する。魅力的な政策だ。蓮舫氏が代表になってから定期的に会議が開かれてきた。この社会保障政策は党内でさしたる異論もなく一致することだろう。新しい社会像の提示は重要な政策的成果である。ただ、問題は「憲法」と「原発」だ。

 安倍首相が9条の3項に自衛隊の存在を明記する改憲を提案した。これは集団的自衛権についての憲法解釈を変更して以降、その役割を世界に拡大する危険な内容をはらんでいる。そうした動向にどう対峙するのか。原発問題もしかりである。「原発ゼロ」への方針もすっきりした形で解決できていない。こうした政策的対立を内包したままでは自民党政権に「歯切れよい」対抗勢力にはなり得ないだろう。それを自覚しているからこそ、菅直人元首相は「分党」を提唱している。

 だが、現実的に判断して、今の民進党に「分党」するだけのエネルギーはないように思える。菅提案に賛同して動く勢力は見当たらない。ならばどこに状況を打開する活路はあるのだろうか。それはいずれやってくる解散総選挙をどのような布陣で迎え撃つかという戦略的な構想にある。そこでカギになるのが、小沢一郎議員が一貫して主張している日本版「オリーブの木」構想だ。「オリーブの木」とは、イタリアですでに実践された政治手法で、異なる政党が選挙時に統一名簿を掲げて闘うことを意味する。
記念パーティーで握手する、共産党の穀田恵二氏(右)と自由党の小沢一郎代表=2017年7月、京都市(門井聡撮影)
記念パーティーで握手する、共産党の穀田恵二氏(右)と自由党の小沢一郎代表=2017年7月、京都市(門井聡撮影)
 これを日本で具体化すれば、野党第一党の民進党と自由党、社民党が衆議院比例区で統一名簿を提示して選挙戦に臨む。さらに共産党とは個別の小選挙区で選挙協力を行うのだ。この構図ができれば自民党政権は相当に追い込まれていくだろう。もしかしたら「ドミノ倒し」のような結果が生まれることも有り得る。問題は民進党がそうした戦略を取ることができるかどうかである。