投球する西武・菊池雄星=8月24日、ヤフオクドーム
投球する西武・菊池雄星=8月24日、ヤフオクドーム
 野球以外の他の競技を取材すると、野球との大きな違いに驚かされる。例えばラグビー。レフェリーと両チームの選手(主に主将)とは試合中ずっと短い会話を交わし続けている。危険なファウルがないよう未然に注意を促し、助言を与え、双方の理解にずれがないよう調整しながら試合を進めるのがラグビーにおいては当たり前になっている。試合後、競技場近くのバーや喫茶店で、微妙な判定を下された当事者とレフェリーとがビールのグラスを交わしながら直接議論し合う姿を見ることも珍しくない。

 それは「親しくなって不正な判定をもらうため」でなく、「ルールの解釈や適応をめぐって、両者の理解をすりあわせるため」であり、時には選手側から「杓子(しゃくし)定規な判定では好プレーにたどり着けない選手のジレンマ」などが伝えられたりもする。もちろん、だからといってルールを曲げることはないが、レフェリーはなぜ選手が反則を犯してしまうのか、犯しがちになるのかの背景を、常に変化するプレーの傾向や技術の変化に応じて理解する好機にもなる。そうやって、お互いにラグビーという競技を深め、高めているのだ。野球にはそのような機会が日常的にはない。

 菊池の2段モーションが最初に反則投球と判定された試合後、判定を下した塁審はメディアの取材を拒んで「ノーコメント」を通したという。それはあたかもコミュニケーションを拒絶することで審判の権威が保たれるというような古い常識に縛られているようだった。

 しかし、25日になって日本野球機構(NPB)の友寄正人審判長が菊池に対し、事前に複数回注意を行っていたことを明らかにした。日刊スポーツによると、友寄審判長は「注意は何回もしています。なぜ今の時期か、じゃなくて、少しずつ悪くなってきているから今の時期。4月、5月、6月と変わっていることは明らかなので」と説明したという。こうした注意を秘密裏に行う必要があるだろうか。仮にもプロ野球、ファンが見るスポーツだ。

 審判団にも開かれた情報公開の意識改革と、コミュニケーションを取る新しい姿勢への転換が求められるべきだ。