寺薗淳也(会津大准教授、「月探査情報ステーション」編集長)
今から6500万年前、当時地上で繁栄を謳歌(おうか)していた恐竜が、突如絶滅した。その理由は長い間生物学上の謎とされていたが、いまでは多くの人が、その理由が「小惑星の地球衝突」の可能性が高いことを知っている。

1980年、イタリアで6500万年前の地層を調査していた地質学者のアルバレス父子は、その地層から、地球の地殻には少ない「イリジウム」という元素が非常に多く含まれていることを突き止めた。
その理由としてアルバレス父子は、小惑星が地球に衝突したことを原因として推測し、それが恐竜を絶滅に追い込むというストーリーを立てた。小惑星には、イリジウムなどをはじめとする希少金属「レアメタル」が多く含まれているからだ。しかし、この説は当時の科学者から懐疑の目をもって迎えられることになる。そもそも、衝突したクレーターがどこにあるかを示せなかったという点は大きかった。
しかし1990年代になり、メキシコ・ユカタン半島に、直径180キロという巨大クレーター「チクシュルーブ・クレーター」が発見され、これが6500万年前にできたことが明らかになったことで、すべての疑問は氷解した。いまや誰もが、恐竜の絶滅を引き起こした小惑星の衝突でできたクレーターがメキシコに存在することを知っている。この衝突は、直径10キロの小惑星が引き起こしたと考えられている。
では、このような小惑星の地球衝突は、6500万年前が最後なのだろうか。そのようなことはない。それは、明日にも起こるかもしれない、地球最大の危機なのである。
2013年2月15日の朝、ロシア中部に位置する都市、チェリャビンスクの人たちは、空に強烈な閃光(せんこう)が走るのを目撃した。太陽の明るさをも超える閃光は、人々の目に、車に搭載されたカメラに、監視カメラに多数目撃され、捉えられた。隕石(いんせき)の落下である。