しかし、周囲を見るとキノコ雲や火の手はあがっていなかった。専門家によると、この衝撃波はマグニチュード4の規模だったという。チェリャビンスクでは地殻が安定しており、人が感じるような地震はない。

 チェリャビンスクでは多くの家屋が地震のように揺れた。サーシャは「うちの10階建のマンションは建物全体が揺れた。初めての経験で、とても恐ろしかった」と振り返った。

 衝撃波の影響で、1600人ほどが負傷した。ほとんどが割れたガラスによるケガ。重傷も2人おり、集中治療室で手当てを受けた。被災家屋は7400棟にのぼり、割れた窓ガラスはほとんどが隕石の落下ルートの方を向く側にあった。
2013年2月、隕石が落下したロシア南部のチェバルクリ湖の湖上。地元警察がロープを張り、周囲を立ち入り禁止にし、野外テントを張り、24時間態勢で監視した。この日も隕石の破片を探しに見物客が集まっていた(佐々木正明撮影)
2013年2月、隕石が落下したロシア南部のチェバルクリ湖の湖上。地元警察がロープを張り、周囲を立ち入り禁止にし、野外テントを張り、24時間態勢で監視した。この日も隕石の破片を探しに見物客が集まっていた(佐々木正明撮影)
 チェリャビンスク西方80キロにあるチェバルクリ湖。面積20平方キロの緑豊かな湖は、冬、30センチの氷が張り、湖面を車が通れるほどの厚さになる。

 この日、漁師のユーラは凍結した湖面に穴をあけ、釣りをしていた。のどかな朝だった。すると太陽が昇った先の東の空が突然、光った。そして、やはり、爆発音。次第に、ヒュルヒュルヒュル~という甲高い音が近づいてきた。

 自分がいた場所から500メートルほど先にある向こう岸で、突然、ドーンという音とともに、3~4メートルの水しぶきがあがった。ユーラは直感的にやはり飛行機が落下したと思った。

 この日の午後、通報を受けて湖にやってきた軍や研究者が、この激突後に湖面にできた直径8メートルの穴のまわりを調べた。そして、ロシア科学アカデミー隕石委員会の会員で、ウラル連邦大学のグロホフスキー教授が穴の周りにあった黒い石を持ち帰り、科学鑑定を行った。すぐに、地球にはない石の特徴を示し、隕石の一部と断定した。

 石は10%が鉄分でできており、かんらん石や亜流酸塩も含んでいた。そして、教授は「この石は『普通コンドライト』で出来ている」とも語り、隕石説を主張した。「普通コンドライト」とはこれまで世界各地で発見されたほとんどの隕石が主成分として持つ物質である。

教授は発見場所にちなみ、「チェバルクリ隕石」と名づける方針を公表し、解析データは2、3カ月後に国際隕石学会に提出され、正式に決まるのではないかとの見通しも明らかにした。

 NASAの解析は早かった。アラスカの観測所が捉えた大気圏突入時の音波記録などをふまえ、何度か修正した後に隕石落下の数値を割り出した。