側近の若狭勝衆院議員が新党結成に動いている東京都の小池百合子知事は9月18日、「解散・総選挙は何を目的になさるのか、大義ということについては分かりません。そういう中で都民、国民に何を問いかけていくのか、私には分かりにくいと、多くの皆さんがそう思うのではないでしょうか」と批判。一方で、若狭氏の新党に対し「しがらみのない政治」と「大きく改革をする」というメッセージが伝わるようになればと既成政党を当てこすった。

 解散に呼応し、細野豪志元環境相らを糾合して新党を立ち上げても、主なメンバーが民進党からの離脱組では「第二民進党」とも揶揄(やゆ)されかねない。準備不足に慌てたのか、若狭氏は小池知事に新党の代表就任を要請するというドタバタだ。

 既成野党はというと、散々「解散・総選挙で信を問え」と言っておきながら、安倍首相のタイミングでの解散・総選挙ということになると気に入らないらしい。

 7月2日の都議選で自民党が惨敗したときには、民進党の蓮舫代表(当時)は会見で「解散・総選挙はいつでも受けて立つ。衆院解散に追い込みたい」と語っているし、社民党の又市征治幹事長も「内閣改造でごまかそうとしているが、解散・総選挙を打たざるを得ないところに追い込むことが大事だ」と強調している。

 共産党も8月下旬の時点で、安倍政権に対する怒りの声が全国に広がり、あと一歩で安倍政権を打倒できるんだというところまで追い込んでいる、臨時国会で安倍政権を追い詰め、解散・総選挙に追い込んでいこう、と力をこめている。

2014年11月21日、衆院解散で記者会見する安倍晋三首相の
映像が街頭に流れた=大阪市北区
 一転、安倍首相が解散の意向とメディアに報じられると、民進党の前原誠司代表は、受けて立つが、北朝鮮の緊迫した状況での政治空白、森友・加計問題での国会での説明不足などを挙げて「自己保身解散」だとコキおろした。幹事長に登用しようとした人材のスキャンダルを報じられ、解散のひとつの引き金になった反省はどうやらないようだ。

 大義もへったくれもない。自分たちに都合がいい時期を選んで解散できる首相、自分たちに都合が悪い時期に解散されることで口を極めてののしる野党。こうなると鍵を握るのはやはり無党派層か。有権者はハナから大義などに期待していないが、安倍首相の「勝てそうだから」という理由での解散に、まさかバラバラ感満載の野党による政権を期待してはいないだろうし、世論調査でも期待は低い。第一の可能性は、このタイミングでの解散に、安倍首相にひと泡吹かせようと野党に1票を投じるというもの。第二は、老獪(ろうかい)な手法に敬意を表し、北朝鮮への対応を期待して与党に1票を投じる可能性。そして第三は、安倍もノーだが受け皿もない、という消去法で棄権してしまう可能性だ。

 2014年の衆院選では、投票率は50%台前半と低迷した。現時点では小池知事の動きは不明だが、第三の可能性をはらみながら選挙戦に突入していくとしたら、後世の歴史家から「大義なき解散」にふさわしい衆院選だった、という有り難くない評価をこれまで同様積み重ねていくことになるのかもしれない。

 「大義」という言葉が政治に警鐘を鳴らし続ける言葉として、今回の衆院選で死滅することは少なくともなさそうだ。