また、THAADが配備されている旧ゴルフ場に続く山道は韓国警察によって閉鎖されていたが、その眼前で尼僧2人が座り込みを続けているのが印象的であった。話を聞くと、なんでもこの山は韓国の仏教系新宗教「円仏教」(えんぶつきよう=圓佛教)の聖地だとか。「わが教団の聖地が、米軍のミサイルによって穢されているとはけしからん」という理屈で、宗教勢力からもTHAAD反対の助っ人が訪れている。山奥にあるロッテのゴルフ場にTHAADが配備されたことで、山全体が立ち入り禁止となり、円仏教の信者が聖地に入ることができなくなったことに、尼僧らは座り込みのハンガーストライキを継続しているらしい。

 私が星州を訪れた全体的な印象は、沖縄・高江に似ていると書いたが、一つだけ大きな違いを記さねばならない。高江の場合、反対派は終始、外部からの質問や取材にのっけから警戒の色で反応する。中にはこちらのあいさつもけんもほろろに「あんた、どこの新聞」「はい、まずはお宅の名刺出して」「指定されたとこ以外勝手に撮らないで」などと友好的態度とは程遠い、えも言えぬギスギスした反応を露骨にされたものだ。
韓国・星州の配備予定地に搬入されたTHAADのミサイル発射台(聯合=共同)
韓国・星州の配備予定地に搬入されたTHAADのミサイル発射台(聯合=共同)
 それに比して星州のそれは極めて開放的で笑顔が絶えず、私が日本から取材できたことを告げると「ぜひ星州の実態を日本でも伝えてほしい」とウェルカムの融和的態度一辺倒で迎えられ、「日本ではTHAADの問題はどう報じられているのか」などの逆質問を浴びせられた点が印象的であった。

 高江と星州。同じ米軍基地・施設への反対運動でも、こうも極端に閉鎖と開放のツートンが際立つものだろうか。高江の活動家はよほど、ネットでの中傷に敏感になっているのだろうか、つっけんどんで陰鬱な空気が支配する。

 一方、星州は外部に開かれており、ちょうど私が集落の公民館(反対派拠点)を訪れた際も、欧米のフリーランス記者と思われる数人が訪問中であった。私が訪れたのは日曜日であったが、毎週末には炊き出しや演奏なども行われるという。

 朴槿恵退陣を求める市民大集会も韓国左派が主導したが、そこでも反対派は一糸乱れぬ統率が目立ち、大統領官邸前には特設の野外ステージが開かれ、韓国内の著名歌手が舞台に立って謳う。老齢化し、「〇〇県教祖」とか「〇〇労組」の一揆にも似たむしろ旗ばかりが目立つ陳腐化した日本の左派集会とはスケールも、洗練性も数段違うのが韓国の左派運動である。

 ただし、対北への姿勢を聞くと「対話で…」「話し合いで…」と判を押したように回答する反対派の弁には、やや釈然としない陳腐さを感じたのもまた事実である。