筋を通す。マスコミは、選挙中に枝野幸男氏と立憲民主党を持ち上げた。しかし、希望の党に入れてもらえなかった者が新党を結成したにすぎない。何が筋を通したのか。偏向報道である。選挙前から最終日まで、三つの段階に分けられる。

 第一段階:安倍叩きで小池に期待。
 第二段階:小池叩き。枝野応援。特に安倍叩きをせず。
 第三段階:小池失速、枝野躍進。特に安倍叩きをせず。

 確かに、一部マスコミの安倍叩きは偏執的だ。一方的すぎる。安倍叩きへの偏向報道は批判されて然るべきだ。
 ならば、マスコミが安倍叩きから鉾先を小池叩きに向けた時にも、マスコミの偏向報道を批判すべきではなかったか。信者や院外団でない限り。安倍首相と利害関係があることを公言しているならともかく、少なくとも公平中立を建前とする言論人ならば、己の言動に一貫性を持たすべきだっただろう。

 開票3日前になり、立憲が希望を追い抜く形勢となった。ここでようやく立憲叩きを始めたが、後の祭りだ。第一段階と第三段階でマスコミの偏向報道を批判していた論者は多い。しかし、一貫してマスコミの偏向報道を批判した論者が何人いるのか。すべてあげてもらいたい。

 そして、テレビで志位和夫共産党委員長は必死に沈痛の表情をしていたが、笑いをかみ殺していたのではないか。どういうことか。
会見する共産党・志位和夫委員長=2017年10月、東京都渋谷区(川口良介撮影)
会見する共産党・志位和夫委員長=2017年10月、東京都渋谷区(川口良介撮影)
 小選挙区制においては、野党が共闘して一本化しなければ勝ち目は薄い。自民党は、政権批判票が希望の党と立憲民主党に分散されて助けられた。そして立憲民主党に肩入れし、希望の党を逆転した。249の選挙区で共闘が成立したが、それには共産党が67人の候補者を取り下げたことが大きい。世の常として、お金をあげても感謝されるとは限らない。しかし、供託金没収の危機を免れて感謝される、お金を出さないで感謝されるのだ。それだけでも慢性的財政難に苦しむ共産党は笑いが止まるまい。普通の政党で候補者取り下げなど血の雨が降るが、共産党は組織があるので候補者の面倒を見られるので不満が出ない。他にこれができるのは公明党だけだ。

 また、意外に注目されていないが、共産党が候補者を取り下げなかった場合、自民党の候補者の当選率が向上したのだ。一例をあげるが、東京8区である。
 

 石原 伸晃(99,863)自民党

 吉田 晴美(76,283)立憲民主党

 木内 孝胤(41,175)希望の党

 長内 史子(22,399)共産党

 この選挙区は、自民党が鉄壁の強さを誇ってきた。それがこの接戦である。しかし、野党分裂に助けられたどころではない。共産党が「この候補者ならば当選させても良い」と考えたから、候補者を取り下げなかったと考えるべきだろう。民共共闘が実現していたら、石原氏はどうなっていたか。

 自民党は「公明党抜きでも、希望の党と組めば改憲発議可能な3分の2を獲得した」と改憲勢力の勝利を誇っている。ところが、石原伸晃氏が憲法改正に熱心だなどと聞いた事が無い。それどころか、9条改正には慎重の立場だ。本気で改憲するには、公明党と自民党内護憲派を説得せねばなるまい。共産党からしたら、石原氏は与しやすしなのだ。今や共産党は立憲民主党を隠れ蓑に、昔の社会党の地位を得た。

 マスコミはまたもやモリカケ騒動を蒸し返そうとしているし、安保法案騒動では一年を空費した。立憲民主党や共産党があの騒動を繰り返せば、良識ある国民は安倍自民党の支持に傾くだろう。それこそが共産党の望むところなのだ。なぜならば、「飯のタネ」だからだ。いっそ、憲法改正を政治日程に乗せてほしいと思っているだろう。最低一年は大騒ぎできる。いっそ、「毒にも薬にもならない憲法改正」「やらなければよかった憲法改正」なら大歓迎だろう。そうした改憲に「安倍右傾化」のレッテル張りをすれば、二度とまともな憲法論議などできなくなる。