“気の優しい子”だった白石容疑者

 少なくとも9人の遺体が発見された現場アパートは、都心から約50kmの神奈川県座間市にある。戦後、進駐してきた米軍が基地「座間キャンプ」を置いたことで知られ、高度経済成長期は自動車産業を基幹に発展した。現在は、都心から約1時間という立地の典型的なベッドタウンだ。

 白石容疑者は、そんなどこにでもあるような郊外の街で生まれ育った。現在の自宅アパートから車で約15分のところに、白石容疑者が幼少期から社会人になるまで暮らした実家がある。25坪ほどの土地に建つ2階建ての一戸建てだ。近隣住民が言う。

「お父さんとお母さん、妹さんの4人家族で暮らしていました。25年ほど前に一戸建てを建てて、一家で引っ越して来ました。お父さんは大手自動車メーカーの下請けで部品を製造したり、設計したりする仕事をしていたようで、この辺りではごく普通の家族という印象でした」

 白石容疑者は実家近くの地元の公立小学校、中学校を卒業し、高校に進学。その後、実家を離れてひとり暮らしを始めたという。

「お父さんは息子さんのことをよく話していましたよ。“気の優しい子だ”とか、“今夜は息子が帰ってくるから一緒に飲みに行くんだ”などと、嬉しそうに話していましたね。娘さんが有名私立大に進学してから、奥さんが娘さんと暮らすと言って家を出られたんです。別居ですよね。それで、お父さんは優しい長男をかわいがっていたんだと思います」(前出・近隣住民)

 白石容疑者は今年年初まで東京・池袋に住んでいたようだ。仕事は、ネオン街・新宿歌舞伎町での「スカウト」だった。スカウトとは、街行く若い女性たちに声をかけて、“仕事”を斡旋する男たちのことだ。スカウト業経験者が語る。
(iStock、画像と本文は関係ありません)
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「キャバクラやスナック、クラブなどの飲食店でホステスとして働かないかと、街を歩く女性たちに手当たり次第に声をかけて、スカウトするんです。もし女性が働いてくれることになれば、女性の売り上げの何割かが毎月、その担当スカウトにお店から支払われるか、紹介料を一時金で受け取るシステムです。ただし、飲食店に紹介するだけでは、そこまで稼げません。売り上げがほしいなら風俗です。ヘルスやソープランドで働く女性をスカウトできれば収入も大きい。それで月に100万円、200万円と稼ぐスカウトもいます」

 女性に声をかけるのは、たいがいは陽が落ちて、街のネオンに灯りがともってから。白石容疑者も夜な夜な、歌舞伎町の街角に立って女性たちに声をかけていたが、今年1月、ある事件を起こしている。

「茨城県で違法に営業する風俗店に女性を斡旋し、紹介料を受け取っていたんです。スカウトの世界でいうと、“オンナを風俗に沈める”ことで、カネを得ていた。店が売春させることを知りながら女性を紹介したとして、職業安定法違反の疑いで、逮捕されました」(別の全国紙記者)

 そんな事件を起こしたからなのか、今年夏頃に白石容疑者はそれまで住んでいた池袋のアパートを引き払い、地元・座間に帰ってきた。

「実家でお父さんがダックスフンドを飼っていたそうですが、この夏、その犬が体調を崩してしまったそうです。お父さんは“長男が面倒を見てくれて本当に助かっている”と周囲に話していましたよ」(前出・近隣住民)