この討論会で、倉重氏は「総理の友人が優遇されたことについて」と首相の答えを遮ってしつこく回答を求めた。加計学園は優遇されたのではないかという指摘があり、その有無が論争の種なのに、優遇されたということを前提にして、責任を取るかどうかの質問をするのは全共闘のつるし上げでもあるまいし、むちゃくちゃだった。私も敬愛していた立派なジャーナリストだったが、どうしたのだろうか。もはや、東京新聞のM氏並みといえばM氏に失礼かと思ったほどだ。
2017年10月、党首討論会で討論する自民党の安倍晋三首相(左)と希望の党の小池百合子代表=日本記者クラブ(宮崎瑞穂撮影)
2017年10月、党首討論会で討論する自民党の安倍晋三首相(左)と希望の党の小池百合子代表=日本記者クラブ(宮崎瑞穂撮影)
 さらに、倉重氏は「この解散は安倍さんの、安倍さんのための、安倍さんによる選挙だといわれている」とか、「50議席以上減っても居座るか」と尋ねていたが、質問のなかに価値観を入れてしまったら記者がプレーヤーになってしまう。「居座るか」でなく「退陣される可能性はないのか」と言うべきだろう。このような討論会が二度とあってはならないし、きちんとルールをつくるべきだと思った。

 しかし、このようなアウェーで不公正な場でも安倍首相は冷静に対処した。その結果、朝日新聞デジタルは次のように報じていた。
 

(解説)勝敗ラインは・・・自公で「過半数」?

 選挙につきものなのが、「勝敗ライン」。今回の衆院選では、定数465議席を各党がどう分けるかで、その後の政治情勢が大きく左右されます。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は党首討論で「政権選択選挙だ。過半数を維持すれば政権を継続する」と述べ、自民、公明両党で過半数(233議席)を得れば、引き続き政権を担えるとの認識を示しました。ただ、9月28日の解散時、自公はあわせて323議席ありました。自公で過半数というラインはあまりに低い、という印象です。

 討論で記者は「(自民党が)50議席減なら(首相の)退陣論がある」と指摘し、現実的な勝敗ラインを引き出そうとしましたが、安倍首相はラインを引き上げることはしませんでした。

 自公で憲法改正を発議するために必要なのは、定数の3分の2にあたる310議席。13議席減というラインです。また、自公あわせて63議席減だと、衆院で17ある常任委員長ポストを自公で独占したうえで委員の数でも過半数をおさえる「絶対安定多数」を割り込みます。そのほかにも、自公あわせて244議席という、「安定多数」というラインもあります。

 こうした様々なラインのどこに落ち着くのか。安倍首相の去就、政権の安定、政権交代――。あらゆる選択肢が、こうした数字によって起こりえるのです。