あらゆる挑発に乗らずに、「自公で過半数」と言い切ったのだから、これで、自公が過半数を得たにもかかわらず、安倍首相が退陣したら公約違反ということになったとみるのが、普通の見方だ。

 さらに、本当は「過半数を取ったらいうまでもなく続投します。また、過半数は取れなかったとしても、ほかに過半数を得た政党や連立を組むということで政策協定を結んでいる政党連合があれば、退陣せざるを得ません。しかし、そうでないならできる限り続投すべく努力をしたい。特に、自公合わせて比較第一勢力であれば、まず優先して連立や閣外協力をどこかいただけないか努力するのが筋だと思います」と言ってほしかったくらいだ。
 
 アンチ安倍勢力のなかには、自公が過半数を得ても僅差なら、石破茂元幹事長を首相候補として担いで与党分裂を狙おうという輩もいたが、これもひどい不見識だった。

 選挙のときと違う政党に移ったり、党内手続きを経ずに自党の党首と違う首班候補に投票することは、それこそ立憲主義に反する。その後に根本的な状況の変化がない限りは禁じ手である。かつて細川護煕内閣が誕生したときには、自民党で宮沢喜一内閣不信任案に賛成した小沢グループは新生党を結成し、不信任案に反対したもののその後は自民党の外で活動したいという武村グループは新党さきがけを結成して、それぞれ総選挙を戦った。それが民主主義というもので、彼らは選挙のあとになって自民党を離れたのではない。

 だから、選挙で自公がどうなろうが、石破氏が自民党としての意向に基づかず、首班指名を受けることなど許されないはずだった。あるとしたら、どこも過半数を取らなかったときに、希望の党から「安倍首相には協力できないが、石破さんなら協力しても良い」という提案があって、自民党が党としてそれに乗ったときや、希望の党が過半数を制して「自党に適当な首班候補がいないので、石破さんどうですか」と持ちかけられたときくらいだった。ところが一部マスコミは、自公が過半数を得ても、石破氏らが首班指名で造反することを期待するようなことをいっていたが、これも立憲主義に反した期待だった。