今回の衆院選において保守・リベラルの定義・区分そのものが混乱をきたしていたように、米国二大政党との関わり方を決定する土台となっているなら、その振り分け自体に相当の無理があるのではないかと思う。アメリカでも近年の共和党は昔の共和党とは質を異にするという人が多い。

 それぞれの国に存在する各党の目指す方向性や性質は時代と世界情勢、内政の趨勢によりどんどん変わっていくのが当然である。イチかゼロの二進法でくくるべき事柄ではなく限りなくアナログで流動的な解釈やその時々に相応の対応は国を預かる者には必須条件であるはずだ。
 
 昨年の大統領選でも明らかになったように、アメリカではいわゆる先進の都市部(海外との貿易・提携・折衝の多い地域、ITなど先進技術が発達している地域)に主に民主党支持者が多く、米国の内陸部の州であまり外国との交易がなく石炭採掘など今後温存が難しくなってきた伝統産業に頼っている地域などに共和党支持者が多いと一般的にはいわれている。

 もちろん、シリコンバレーやサンフランシスコのような都市部でも一部富裕層には個人の利を重視し、共和党を支持する人たちはいるのだが、共和党支持者と民主党支持者のデモグラフィクスをみると、一般的には教育レベルや経済的格差というものも浮き彫りになってきている。

 安倍総理は共和党推薦のトランプが大統領に選出されると、就任前だというのに訪米し「日本ここにありき」とばかりにまだ一般市民であるはずのトランプを無条件で祝福した。就任したトランプ大統領は個人の利益や感情をあからさまに最優先する稚拙で横暴な外交を進めようとし、他国首脳・代表から牽制され批難されるまっただ中、安倍首相は「友」を名乗りトランプ大統領のフロリダの個人資産である別荘で手厚いゴルフ三昧接待を受けた。今回のトランプ大統領来日でもトランプ大統領のご機嫌伺いに終始したことはアメリカでも報道されている。その一部始終をアメリカ国民は見守ってきた。
トランプ米大統領(右)と握手する安倍晋三首相=2017年2月(共同)
トランプ米大統領(右)と握手する安倍晋三首相=2017年2月(共同)
 そういった安倍政権の方法論が世界の一国としての日本の緻密に考え抜かれた対米外交戦略であり、うまく米国を手の平で転がし国益を守り、世界全体の和平や潤滑で公平な経済へと導くようなことであれば海外からの見方も異なるはず。少なくとも日本人としては国益につながることを期待するのは当然である。

 本来であればシリコンバレーやサンフランシスコ市内で展開するIT産業でゆるぎない存在価値のある経済日本のはずが、今回のようにまったく発言力がなく日本人の感情など容易に軽んじられてしまったのは、日本が自らの立ち位置を作ってしまっているというその証しなのではないだろうか。
 
 今、アメリカはセクシャル・ハラスメントと性的虐待関連の摘発・告発でとんでもない事態になっている。女性が台頭しているアメリカで今頃?と驚く声も聴こえてくるが、1991年のクラランス・トーマス最高裁判事候補に対するセクハラ問題の議会での公聴会の様子は記憶に新しい。この問題を真剣に考えてきた者にとってはこのアメリカで目の当たりにするには衝撃的すぎる展開だった。

 密室で行われるセクハラ行為を証明することは非常に困難であり、ヒル女史のように社会的地位に上り詰めている立場であったとしても、その勇気ある告発が否定され、公の場、法のもとでの尋問の辱めを告発者、アニタ・ヒル女史は受け、しかも嘘つきの烙印を押されてしまうことで、世に無数に存在するであろう犠牲者たちの証言を永遠に封印させてしまうほどの歴史的一場面だった。