ハラルとはアラビア語で「合法」「合法な」「許された」という意味の言葉です。では、反対に「非合法」「禁じられた」「禁忌」はハラムといいます。この「ハラル」と「ハラム」は、イスラムの世界では母親が子供に「生きる術」「生活の仕方」「礼儀作法」として伝えていくものであり、日本社会の中で例えれば、母親が子供をしつけたり、礼儀作法を教えたりするということに似ています。
(iStock)
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 「ハラル、ハラムは何に基づいて判断しているのか?」とよく聞かれます。イスラム法の法的枠組みである(シャリーア)によって定義されています。これは、神(アッラー)が規定した法律と生活規範からなるイスラムの教義全体であり、行動規範とされているものです。そのためムスリム(編集注:イスラム教徒のこと)とハラルを切り離して考えることはできないのです。この「ハラル」「ハラム」という考え方は、日本でよく論じられる食に限定したものではない事がわかります。
 
 「生活全般に及ぶ教義となると理解が難しそうだ」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ハラルを理解することは決して難しいものではないのです。なぜなら神(アッラー)によって創造された自然界にあるものはすでに許可されているものであることから当然ハラルです。

 明らかに禁止されていること(ハラム)を除くすべてがハラルなのです。つまり、神(アッラー)の創造物とそれから生じるものは本質的に人間が使うためのものであり、したがって許容されると考えられています。

 ちなみに、ハラルとハラムを決めるのはアッラーだけの権利です。当然、ハラムをハラルと偽ることは禁止されています。ハラムであるものを合法化するために、よこしまな手段や口実によってその定義の解釈をねじ曲げるようなことは禁止されています。ハラムであるものの呼び方を変えたり、本質はそのままで形を変えたりしても、そのもの自体やその本質が変わらない限り名前や形の変更は明らかに取るに足らないことなのです。例えば、「お酒」を「スピリッツ」と名称を変えたりしてもハラムであるものがハラルにはなりません。
 
 では「ハラム」はどういうものなのでしょうか。不潔なものなど明らかに有害であるために禁止される事項や、中毒性のあるものなど不快感を抱かせるものがハラムとされています。