今では公共料金の支払いやチケット販売などによる利便性の拡大はもちろん、コンビニ限定スイーツやファストフードの販売など、ありとあらゆる来店動機を携えたビジネスモデルとなっています。ですので、こうした便利さの多様化に伴い、「深夜に営業していること」が占める来店動機比率は相対的に減少しているはずです。

 それでも今回実証実験に踏み切るのは、同じような商品やサービスがあるAコンビニと、同じような商品やサービスがあるけど深夜営業はしないBコンビニでは、Aコンビニの方が使い勝手の良い「いいコンビニ」という格付けがなされ、深夜の利用でなくても、Aコンビニを利用する顧客が増えることを懸念しているからだと考えられます。そしてそれは実際に充分起こり得る現象なのです。

 コンビニはそもそも専門性を売るビジネスモデルではありません。あくまでも基本は利便性を売るビジネスモデルですので、どれだけ自分にとって便利かがお店の印象をある程度決定付けます。たとえば月に一度しか深夜のBコンビニを利用しなかった人が、Bコンビニの深夜営業終了に伴い、最初は月に一度の深夜利用だけAコンビニに行っていたのが、やがて習慣化し日中もAコンビニを利用するようになる、というケースは少なくないでしょう。どのコンビニでも手に入る商品やサービスなら、その都度行くお店を決めるという作業を省略して、とりあえずコンビニに行く時はまずAコンビニ、というルーティンで行動する人は一定数存在すると考えられるからです。
京都市内の夜のコンビニ=2008年7月(柿平博文撮影)
京都市内の夜のコンビニ=2008年7月(柿平博文撮影)
 人手不足は現実のものですので、深夜の人材確保がままならな現状があるのなら、営業時間の短縮は実証実験の結果を問わず前向きに検討すべき課題でしょう。利益ならまだしも、本社が売り上げを偏重するあまり24時間営業を無理強いし、コンビニオーナーが不眠不休で働くような状況は、間違ってもあってはなりません。その為には利便性の追求だけではなく、新たな来店動機となるものを模索することがコンビニには求められます。

 具体的には、前述したコンビニ限定スイーツなど、そこにしか置いてない商品の開発強化や、店舗スタッフによるソフトサービスの強化などが来店動機の創出になります。特に人材教育については、既存スタッフという、既に保有している原資を元に行える投資である上に、スタッフの定着や求人の反応向上にも直結する為、人手不足解消の一助にもなります。どちらにせよ「近所の他のコンビニではなく、このコンビニに来る理由」を増やす以外に方法はありません。

【参考文献】