若林亜紀(ジャーナリスト)
官民格差の象徴として廃止された、議員年金が復活しそうになっている。
昨年12月、自民党の森山裕国対委員長が「地方議員のなり手不足が問題だ」として、地方議員を地方公務員とみなし、役所の厚生年金に加入できるよう法改正したいと述べたのだ。狙いは議員年金への税金投入だ。地方議員の法改正がうまくいけば、国会議員の年金復活にも着手するとみられる。
国会議員や地方議員の年金は、一般国民の年金に比べてとてもお得だった。例えば、国会議員は掛け金を月10万円で10年納めれば、65歳以降の引退時に年間450万円の年金をもらえた。男性の平均寿命の81歳まで生きれば、払い込んだ掛け金の5倍額を受け取れる。国民年金や厚生年金なら、世代にもよるが1.5~2倍程度だ。
しかも、国民が年金をもらうには最低25年間掛け金を積み立てなければならなかったのに、国会議員は10年でよかった。昨年やっと、国民も10年に短縮された。
議員年金がなぜこんなにお得なのかというと、税金からの補塡(ほてん)が多いからだ。サラリーマンが入る厚生年金の場合、毎月の保険料は労使折半と決まっている。掛け金が5万円とすると、本人負担が2万5000円で、会社が2万5000円を負担してくれる。だが、議員年金の掛け金は、本人負担が10万円に対し、雇用主である国の負担は25万円程度と、負担割合がいびつだったためである。
地方議員も国会議員に倣い、同様のお得な年金を謳歌(おうか)していた。
けれども、メディアと国民から不公平との声が上がり、2006年の小泉改革でまず国会議員の年金が、2011年に地方議員の年金が廃止された。議員は、自営業者や学生、フリーターと同じ、国民年金に加入することになったのだ。
とはいえ、すでに年金をもらっていたOBと、10年以上在職していた議員へは高額給付がほぼ据え置きで続くことになった。国民年金に加入したのは中堅・若手の議員だけだ。

国民年金には士業らの加入も少なくない。そのため、国民年金基金の中には、医師、歯科医師、薬剤師、弁護士、司法書士、税理士、漁業者、農業者といった職能別の連合会があり、運用も別々に行われている。だから、議員の国民年金基金連合会を作ればよいのだ。
議員の仕事は自営業者やフリーター並み、いや、それ以上に自由度が高い。議会が都道府県、政令指定都市で年平均80日程度、市町村で20日程度開会される他は、あまり時間の拘束がない。議会では首長らと自由に対等に議論し、住民代表として身分が保障されている。定年もない。そのため、公務員やサラリーマンよりは、一人親方の自営業に近いので、厚生年金でなく国民年金が相当とされたようだ。
