リフレ派は現実の政策的にも重要な専門家集団なのだが、存在が明らかになってきた1990年代後半から今日に至るまで、日本の報道番組に出演する機会はごくごく限られたものになっている。むしろ、テレビの経済解説では、彼らとは異なる財政再建論者や長期デフレ論者、消費増税論者などがテレビに出演する「専門家」の中心であり、あえて言えばほぼすべてである。

 ちなみに、日本のテレビ報道の重要な特性だが、民間の主要キー局がすべて大新聞の関係組織であるため、新聞とテレビでの報道が極めて類似している。例えば、日本経済新聞にリフレ派の論客のコメントが掲載されたり解説記事を書いたりことは極めてまれだ。それの合わせ鏡で、関連会社のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」にリフレ派の論者が出演することもめったにないのである。

利付10年の日本国債
利付10年の日本国債
 ところで、日本には「債券ムラ」と呼ばれる民間金融機関の債券部門が存在している。彼らは日本が長期停滞を続ける中で「勝ち組」といわれていた。長期停滞が続けば名目金利が趨勢(すうせい)的に低下していくので、取り立てて有能ではなくとも、その部署にいるだけで債券の売却益で荒稼ぎできたわけである。

 短期国債の名目金利はゼロに早く到達したが、それでも長期金利はプラス域であった。デフレ期に多くの金融機関が国債保有の比率を増加させていたのは、債券購入と債券売却との利ざや(=売却益)を稼ぐためであった。

 だが、最近では、長期名目金利もマイナス域から極めて低い金利でコントロールされている。そうなると債券ムラにとっては自分たちの不況で得てきた有利なポジションを奪われているという不満が募ってくる。しかも債券ムラの住人は、デフレ不況の期間において、新聞、テレビ、通信社など既存のマスメディアと長期的な関係を構築してきた。

 なぜなら、長期デフレの間で、最も目覚ましい活躍(?)をしていたのが債券ムラの住人たちであり、その動向を報じることは、既存のメディアにとっても商売になったからである。そのためか、今もメディアの多くは、債券ムラの住人たちの意見に沿った報道をする傾向が強い。