崔吉城(東亜大教授、広島大名誉教授)

(ハート出版『朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実』より)

元慰安婦たちの証言


 私は、2001年5月3日、北朝鮮の平壌で開かれた北朝鮮主催の国際シンポジウム「日本の過去の清算を求めるアジア地域討論会」に参加した。海外からは日本人57人、韓国人12人を始め、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、アメリカの7カ国から約80人、特に韓国からは約80人の参加希望者があったが、結局、一部の選ばれた人が公費参加となり、「挺対協」(韓国挺身隊問題対策協議会)の名誉代表、尹貞玉氏を団長に、いわゆる活動家が初めて参加するという、画期的なものになった(台湾も一部、公費負担)。

 中国、日本、インドネシア、台湾、フィリピン、アメリカ、そして韓国、北朝鮮、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)、在米同胞の学界、法曹界、言論界、人権団体の人士と、関係部門の活動家など、8カ国の代表、約300人が、平壌にある人民文化宮殿の国際会議場に参集した。これらの団体は、慰安婦問題をもって南北の対日民族運動にするという。
2016年6月、ソウルで「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」の設立総会を終え、記者会見に臨む元従軍慰安婦の女性と挺対協メンバーら=(共同)
2016年6月、ソウルで「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」の設立総会を終え、記者会見に臨む元従軍慰安婦の女性と挺対協メンバーら=(共同)
 会場には三周円のテーブルが配置され、全ての会議は同時通訳システムで進められた。朝鮮語、日本語、英語、中国語で通訳されるが、これらはいずれも朝鮮語への通訳であり、英語から中国語などは、基本的に英語から朝鮮語を介して通訳される間接通訳であったので、その場合は時間がかかり、内容も正確とは言えないものであった。通訳員は全部で20人ほどであった。私は会議が終わってから、彼らと記念写真を撮った。「労働新聞」「青年朝鮮」などの新聞記者たちが取材していた。

 主催国の朝鮮民主主義人民共和国「朝鮮従軍慰安婦および太平洋戦争被害補償対策委員会」の洪善玉委員長が、初日の冒頭で基調報告を行った。次に被害者たち、日本軍性奴隷被害者(北朝鮮3人、韓国2人、フィリピン、インドネシア、台湾のムロ湾から各1人)の計8人、強制連行被害者(北朝鮮2人、韓国1人)の計3人、合計11人が3時間半に及ぶ証言を行った。その主張は以下の通りである。