北米プレート上の火山は軒並み巨大噴火の準備ができつつある。そのため、関東地方以北の火山は、いつどれが噴火してもおかしくなく、その噴火は巨大噴火・大噴火になりやすいのである。今回の草津白根山の噴火はその始まりに過ぎない。

 筆者は、よく、マスコミからどの火山が噴火しそうかという質問を受けるが、今回の場合は、マグマの生産されている場所が線状なので、単体の火山の噴火にとどまることはなく、既存の火山の火口はもちろん、それ以外の場所から噴火する可能性がある。しかも、マグマが大量に生産されていることから、一度噴火が起きれば長い期間継続する。そして、火山灰などは風下の数千キロに達することもある。

 西南日本の桜島、霧島、阿蘇山などの火山は、ユーラシアプレートに位置しており、現段階では、直接的にはフィリピン海プレートの、間接的には太平洋プレートの圧力でマグマ溜まりに存在しているマグマが噴出してしまえば休止する一過性の噴火をしており、その規模も大きくない。これに対し、関東地方以北の火山は、地下深くにおいて太平洋プレートが溶けて大量にマグマが生産され続けているため、継続的で大規模な噴火になりやすいのである。

 噴石や溶岩の流出など噴火した火山の周辺に直接的に被害をもたらすだけではない。噴煙が1万メートルを超えるような場合には、火山噴出物が成層圏にまで到達し、地球を覆い太陽からのエネルギーが地球に到達するのをさえぎる「パラソル効果」により、地球の気温を数度低下させることも考えられる。

 1783年には、浅間山の噴火が旧暦4月9日(新暦5月9日)に始まり、7月7日(同8月4日)夜から翌朝にかけて最盛期を迎えた。また、同年3月12日には岩木山が噴火(4月13日)。さらにはアイスランドのラキ火山の巨大噴火とグリムスヴォトン火山の噴火が起きた。これらにより、日本では天明飢饉、ヨーロッパでもフランス革命のきっかけとなった「パンよこせデモ」などが生じた。18世紀末は、ただでさえ「小氷期」と呼ばれる寒冷期であったのに、火山噴火はそれに輪をかけたのである。
※写真はイメージ(iStock)
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 また、浅間山から大量に噴出した火山灰は、利根川本川に大量の土砂を流出させ、1783年の水害、1789年の水害などを起こした。直接、火山噴出物に覆われなくとも河川の洪水によって下流側で被害が起きる場合もある。

 一方、1985年のコロンビアのネバドデルルイス火山の噴火では、山頂付近の雪氷が融けて濁流となって谷を流下し、約100キロ離れたアルメロの街を泥流が襲った。アルメロのほぼ全域がラハールと呼ばれる泥流に飲み込まれた。しかもそれが深夜であったため、人口約2万5000人のうち、2万1000人が生き埋めとなり命を落としたのである。積雪期の火山噴火は雪崩やこのようなラハールの危険性もともなう。

 悲劇は火山噴火にとどまらない。太平洋プレートの沈み込み速度が、2011年の地震以前の数倍にも加速した。そのため、東側に続くプレートが追従できず、太平洋プレートの内部で正断層ができ、東北日本を中心に、もう一度、巨大地震が発生し津波が起きる。これがアウターライズ型地震である。明治三陸地震(1896年)に対して、昭和三陸地震(1933年)はアウターライズ地震であった。この時は、37年と長い時間がかかったが、インド洋大津波を起こしたスマトラ・アンダマン地震(2004年)の場合、8年後にアウターライズ型地震が生じている。

 東北地方太平洋沖地震の発生から7年がたち、カムチャッカ半島や千島列島で火山の爆発的噴火が起きている。アウターライズ型地震が発生したり、火山の巨大噴火が連続的に起きたりするのは時間の問題である。