さらに、VAには株式と異なり配当金の制度はありません。もっとも、VAの発行者は、自分のVAを保有する人に対して任意の優待を設定することができます。

 VAは「上場株式と似て非なるもの」ということができるでしょう。

 それでは「自分が発行するVAについて、価格を吊り上げて売却する」という行為には、どういう問題があるのでしょうか。このような取引行為には、何らかの法規制が及ぶのでしょうか。
(iStock)
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 この問題は、VAの取引に金融商品取引法の適用があるかどうかによって取扱いが大きく異なります。

 VAと比較される上場株式の取引の場合には金融商品取引法が厳格なルールを定めています。株式を新たに発行したり、取引所内外で売買したり、あるいは取引を取り次いだりする場合には、いずれも金融商品取引法の定めるルールに従う必要があります。

 例えば、上場会社が新株発行のために投資家を募集する場合、金額により有価証券通知書や有価証券届出書を提出して募集条件や会社の経営状況などの情報を開示しなければなりません(金融商品取引法5条)。また、株式発行後も有価証券報告書を提出し、継続的な情報開示をすることが必要です(24条1項)。

 また、証券会社のように、上場株式の発行を取り扱ったり、株取引の仲介や取次ぎなどの業務を行う場合には許認可(第一種金融商品取引業の登録)が必要です(29条)。

 そして登録を受けた「金融商品取引業者等」やその役職員は、業務を行うにあたって金融商品取引法が定める厳しいルールを守らなければなりません。例えば、証券会社が投資家を勧誘するにあたって「必ず利益がでる」などと断定的な説明をしたり、投資判断を誤らせるようなことを告げたりすること(断定的判断等の提供)は禁止されています(38条など)。

 さらに、上場株式の場合、投資家を含む全ての取引関係者に対して、不正行為を禁止するルールが定められています(157条以下)。

 不正行為の代表的なものとして、風説の流布等の禁止(158条)、相場操縦行為の禁止(159条)、インサイダー取引の禁止(166条)などが含まれており、これらに違反した場合には、刑事罰が科される場合もあります。