上場株式の場合、会社が新株の発行前に値段を吊り上げるために、架空のM&Aや新製品発売などの噂を市場に流すような行為は、金融商品取引法上の「風説の流布」にあたり、禁止されています。

 価格を吊り上げる目的で、ことさらに「いま購入すると良いことがある。得をする。」などと宣伝してまわることは、上場株式の場合には「風説の流布」にあたる可能性もありそうです。

 あるいは、証券会社などの金融商品取引業者等が「かならず得をする」などの発言をして投資家を勧誘した場合、断定的判断等の提供の禁止に抵触する可能性があります。

 また、上場株式の場合、会社の関係者が、大規模な新株発行や自己株式の処分が予定されていることを知り、それらの公表前にその銘柄の取引を行うことは、同様に金融商品取引法が禁止するインサイダー取引にあたります。
(iStock)
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 もっとも、金融商品取引法が定める風説の流布の禁止やインサイダー取引の禁止は、あくまで「有価証券」の取引について適用されるルールです。

 また、断定的判断の提供の禁止も、「金融商品取引業者等」やその役職員に適用されるルールです。

 VAが「有価証券」にあたらないのであれば、VAの取引に、金融商品取引法の「風説の流布の禁止」や「インサイダー取引の禁止」は適用されません。

 何が「有価証券」に含まれるかは金融商品取引法2条1項,2項で定義されており、株式のほか、国債や社債などの債券、投資信託や信託の受益権、ファンドの持分権などが含まれます。

 しかし、先ほど説明した通り、VAは「株式」ではありません。また、VAのように「個人が発行し、運用等による利益配当もない権利」について、それにぴったりとあてはまるものは有価証券の定義の中には見当たりません。現時点ではVAを「有価証券」にあたると解釈するのは難しいといえます。

 そして、VAを発行するユーザーや、VALUの運営主体は、登録を受けた金融商品取引業者等ではありません。有価証券でないVAを取り扱うことについて、金融商品取引業の登録を受けることも必要ないと考えられます。

 そうすると、VAの取引において、「風説の流布」や「インサイダー取引」、あるいは「断定的判断等の提供」にあてはまる行為がなされたとしても、有価証券の取引の場面でなく、登録を受けた金融商品取引業者等が行ったものでもない以上、金融商品取引法の規制は及ばないということになりそうです。