2020年度から実施される大学入学共通テストでは、試験結果はABCDといった具合にランク分けされて評価される見通しです。一見資格試験のようですが、受験生は少しでも偏差値の高い大学に合格するため、より高いランクに入ろうと努力しますので、その性質は選抜試験と同じです。1問でも多く正解するため、今までのようにさまつな知識・テクニックを詰め込むことになります。もちろん、適切な平均点が求められますので、またしても平易な難問ができあがるでしょう。

 最後に、2017年5月に公開された国語の例題を簡単に紹介しながら、平易な難問が今後も続くことを改めて示したいと思います。この例題では、景観ガイドラインに関する広報文書と、その文書に関する父と娘の会話文が登場しました。広報文書と会話文なので、センター試験で出題されている評論文や小説よりも平易な文章です。したがって、適切な平均点にするためには、センター試験と同様に問い方や選択肢といった部分で難度を調整せざるを得ず、平易な難問となってしまいます。大手予備校でも、試験の作問方法に対して疑問を呈しています。


 本問では、「会話文中の傍線部『一石二鳥』とは、この場合街並み保存地区が何によってどうなることを指すか」という文言が含まれているが、「街並み保存地区が何によってどうなることを指すか」という条件付けは、本来なら平易な問題を故意に問題を複雑化し、いたずらに難易度を上げようとしているように見える。ここはもっとシンプルに「会話文中の傍線部『一石二鳥』とは、どういうことか」と問えば、生徒はそこで自ら思考力を働かせるはずであり、逆にこのような条件付けをすることでかえって自然な思考力の発露が妨げられてしまうのではないかと考える。

2018年2月、「大学入学共通テスト」の試行調査で、
英語の試験に臨む高校生=東京・練馬区の都立井草高校
 「平易な問題を故意に問題を複雑化し、いたずらに難易度を上げようとしているように見える」とありますが、まさにこれは平易な難問の特徴そのものです。思考力・判断力・表現力・主体性といったものを評価するためには、記述試験や実用的な場面を想定した問題を課せばよいと安易に考えているため、平易な難問を克服できないわけです。残念ながら、大学入試は受験にしか使えない知識偏重の入試であり続けます。

 今回の改革では、その他にもアクティブ・ラーニングや、面接・プレゼンテーション・エッセーなどによる多面的な評価が導入される予定ですが、これらについても問題が山積みです。一度仕切りなおしたうえで、きちんとした議論を新たに始めるべきではないでしょうか。いい加減な教育政策と世論によってあらぬレッテルを貼られる世代は、私たちで最後にしてほしいと切に願います。