羽生にとって、4年間は短いようで長く、長いようで短かっただろう。フィギュア男子のSPは2月16日、フリーは2月17日。20歳と若く伸び盛りの宇野は、大会を経験するたびに技が上達している。1月の全米選手権を制したネイサン・チェンは若干18歳。315.23の高得点をマークするなど4回転ジャンプの精度を飛躍的に高めている。五輪は厳しい戦いになることは間違いないが、羽生にとって宇野の頑張りは、自らを発奮させる材料となっている。羽生自身も23歳と若く、「まだ、負けられない」と思いも強いことが推測される。金メダル候補としては、ほかにも中国の金博洋、フェルナンデスらも侮れないだろう。

 五輪に臨む羽生のプログラムで、SPは、ジェフリー・バトル振り付けのショパン作曲の「バラード第一番」の調べにのる。フリーはシェイ=リーン・ボーン振り付けの「SEIMEI」。

 この二つは、2015年に300点台の得点を記録し、高得点時代を切り開いたNHK杯の時と同じプログラムだ。同じプログラムではあることに危惧する声もあるが、「何よりすべてのエレメント(要素)を支えるスケーティングスキルが、ソチ五輪に比べ、格段にレベルアップ」(「金メダルに挑戦」)しており、問題はない。
男子SPで4回転サルコーを決める羽生結弦=2018年2月16日日、江陵アイスアリーナ(松永渉平撮影)
男子SPで4回転サルコーを決める羽生結弦=2018年2月16日日、江陵アイスアリーナ(松永渉平撮影)
 けがを癒し、雑念にとらわれず、冷静な滑りができれば確実に得点は向上するだろう。その先には、ディック・バトン(米国)以来66年ぶりの金メダル連覇がある。羽生、同じく金メダルが期待される宇野、さらには田中刑事の滑りに日本だけでなく、世界が注目する日が待ち遠しい。

■修正履歴:
2ページ目でルッツジャンプをエッジ系と記載していましたが正しくはトウ系でした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正しております。(編集部 2018/02/02 18:22)

たまむら・おさむ スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト。小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。