作中では明示されていないが「悪役のタコ一味」はもちろん日本人である。当然、分かりやすく醜悪で卑劣なキャラクターとして描写されている。たとえ、悪役が日本人だと明示されていなくても、独島やアシカ(これについては後述)がモチーフになっている以上、韓国人なら悪役のタコが日本人を意味することくらい、瞬時に判断できるだろう。何しろ、韓国人は幼稚園・保育園の年頃から「独島は韓国の領土である」という、いわば「絶対不滅の真理」を耳にタコができるほど聞かされ、育っているからである。「日本人が海洋資源や地下資源を狙い、虎視眈々(たんたん)と独島の侵略をたくらんでいる」というのも、韓国ならではのお約束。そう思っていない韓国人は「親日派」、つまり「売国奴」である。

 それでも、企画・製作サイドはこのアニメが反日感情を煽るためではなく、あくまで教育的な目的で製作されたものだと主張する。チュ・ガンホ監督はメディアの取材に対し「子供たちが今回のアニメーションを通して独島を知る契機になってくれたらと思う」「独島の自然環境と海の中の環境表現に心血を傾け、アシカを通して独島広報の役に立ってくれたらと思う」などと無邪気に語っている。

アニメ『独島守備隊・カンチ』のポスター
 言うまでもないが、幼稚園の園児や小学校の児童に、複雑極まりない竹島をめぐる領土紛争の経緯や、日韓両国の主張の正当性を吟味する判断能力があるとは思えない。そうした思慮分別のない園児や児童に、国策をもってこうした一方的な内容を教え込み、自国の主張を絶対的に正当化し、日本や日本人に対する敵愾心(てきがいしん)を煽り立てている。そら恐ろしい限りである。しかも、かわいらしいアニメのキャラクターを使ってである。

 このアニメは昨年4月に試写会で公開され、一部の映画館でも上映され、テレビの地上波やケーブルテレビでも放映された。ただし、当初からこのアニメは劇場公開よりも幼児に対する「洗脳教育」に重点が置かれていたようである。後に慶尚北道はこのアニメのDVD1万5000枚を韓国全土の幼稚園や小学校に配布している。

 ただし、昨年は話題の反日映画『軍艦島』が公開されたこともあってか、『独島守備隊・カンチ』はほとんど話題にすらならなかった。内容が説教じみている上に、ストーリーがテレビの幼児番組並みに単純でつまらなかったせいであろう。韓国のマスコミは「独島守備隊カンチ・韓国全土を強打!」といった扇情的な煽り文句で、あたかもこのアニメが全国の幼児から大好評を得ているかのような記事を掲載したが、これは事実に反すると言わざるを得ない。その後、このアニメは昨年11月に開かれた「ホーチミン・慶州世界文化エキスポ」なるイベントでも上映され、初の海外進出を果たしたそうである。