寺薗淳也(会津大准教授、「月探査情報ステーション」編集長)

 2017年12月、米軍が極秘に未確認飛行物体(UFO)の調査を行っているということが明らかになった。最初に報道した米紙ニューヨーク・タイムズによると、調査は07年から5年間にわたって行われたという。ネバダ州出身のハリー・リード元上院議員の要請によってスタートしたこの計画は、ある意味では当然だが、完全な機密プロジェクトとして進行した。

 報道とともに公開された資料映像には、上空を高速で飛行するUFOと思われる物体をパイロットが追跡し、驚嘆の声を上げる映像などが含まれていて、大変衝撃的である。また、物的証拠が保管されているとの情報もある。また、このプロジェクトは12年に終了したとされているものの、実は現在でも継続中なのではないかという情報も出てきている。

 かつてUFOというものをどっぷりと信じた高校、大学時代を過ごし、いまはむしろ懐疑派(スケプティクス)に回っている私としては、この報道に触れ、久々に少年時代のUFO熱を呼び覚まされたような興奮を覚えた。なんといっても「米軍が」「極秘に」「UFOを」研究していたのである。まるで映画『インデペンデンス・デイ』のようなプロットではないか。

 ところでこの報道が出るまで、最近は意外とUFOについて大手のメディアで語られることが少なくなっていた。

 UFOをどっぷり信じた少年のころは、テレビでも盛んにUFO特番が放送されていて、もちろんそれらが情報源だった。でも、最近はそういった番組もめっきり減り、特に若い人はひょっとすると「そもそもUFOってなに?」「UFOってどう読むの?」という人も多いかもしれない。例えば、読み方についてさらっと触れておくと、日本では「ユーフォー」が一般的だが、欧米では「ユーエフオー」を使うことがほとんどである。

ケネス・アーノルドが目撃したと主張する「空飛ぶ円盤」に
ついて特集した米雑誌(Wikimedia Commons)
 そこで、この機に少しUFOについておさらいをしておきたい。

 もちろん、昔からUFOの目撃例はあった。しかし、近代においてUFOが注目されるきっかけになったのは、ほぼ70年前の1947年に起きたある事件にさかのぼる。

 この年の6月24日、米国の実業家、ケネス・アーノルドが米ワシントン州上空を飛行する9つの不思議な物体を目撃したと語ったことから、現代のUFOの「物語」が始まる。アーノルド自身はこの物体の飛び方を「水面を跳ねる皿のような」、つまり水切り石のイメージと表現した。ところが、報道が増えるに連れてそれが誤って伝わり、物体の形がまるで皿であるかのように広まってしまった。これが今でいう「空飛ぶ円盤」の語源ともなってしまっている。

 アーノルド自身は実業家であり、地元の名士でもあり、政財界とも広い交友関係があった。また優れたパイロットでもあり、そのような人物が嘘や間違いを公言するということは考えられなかった。この一件がまさに、現代のUFO物語の発端となるのである。